特殊車両通行許可申請について |
1.特殊車両通行許可とは?
日頃、私たちは道路を利用(通行)していますが、道路もある種消耗品であり、高速道路や国道、都道府県道等でしばしばアスファルトの補修工事をされているのを目にすることがあります。例えば道路を通行していて、特に交通量が多いところではアスファルトがボコボコと波打っているような状態になっている箇所を見かけることがあります。
ご存じの通り、あれはさまざまな車両が通行するので、それぞれの車両の車重が日常的に道路にのしかかり、あのようにアスファルトが傷んでしまっています。あと、橋梁(橋)や高速道路等の高架道路についても、さまざまな車両の通行により劣化していきますので、定期的に補修工事が施されています。
仮に、ものすごく大きいあるいは重い車両がどんな道路でも橋でも自由に通行をできるとすると、特に交通量の多い道路のアスファルトはさらに傷みの進行度が早くなり、交通量の多い高架道路や橋梁についても、補修工事を頻繁に行う必要が出てきてコストが膨らみます。
以上のような理由から、通常、道路を許可なく自由に通行できる車両はその寸法や重さ等を基準に制限されています。この基準を「一般的制限値」と呼んでいます。
| 車両の諸元 | 一般制限値 |
| 幅 | 2.5メートル |
| 長さ | 12.0メートル |
| 高さ | 3.8メートル ※高さ指定道路は4.1メートル |
| 重さ(総重量) | 高速・重さ指定道路 25.0トン その他の道路 20.0トン |
| 軸重 | 10.0トン |
| 隣接軸重 | 隣り合う車軸の軸距が1.8メートル未満…18.0トン 隣り合う車軸の軸距が1.3メートル以上かつ隣り合う車軸の軸重が9.5トン以下…19.0トン 隣り合う車軸の軸距が1.8メートル以上…20.0トン |
| 輪荷重 | 5.0トン |
| 最小回転半径 | 12.0メートル |


上記の一般的制限値のうち、ひとつでも超えていると許可が必要になります。おおかたの目安は、幅・長さ・高さ・重さになると思います。注意点は車検証や諸元表の数値ではなく、「積載物を含めて」の数値になります。
では、一般的にどんな車両が特殊車両に該当するのか?というと、おおかた以下のような車両が該当します。

ただし、以下のトレーラ連結車には特例があり、上記の一般的制限値を超えても、既定の重量や寸法まで制限値が緩和されています。
〈総重量についての特例〉
特例5車種…バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用については、通行する道路種別及び最遠軸距により、以下の特例の制限値が設定されています。
| 道路種別 | 最遠軸距 | 総重量の最高限度 |
| 高速自動車国道 | 8メートル以上9メートル未満 9メートル以上10メートル未満 10メートル以上11メートル未満 11メートル以上12メートル未満 12メートル以上13メートル未満 13メートル以上14メートル未満 14メートル以上15メートル未満 15メートル以上15.5メートル未満 15.5メートル以上 | 25トン 26トン 27トン 29トン 30トン 32トン 33トン 35トン 36トン |
| 重さ指定道路 | 8メートル以上9メートル未満 9メートル以上10メートル未満 10メートル以上 | 25トン 26トン 27トン |
| その他の道路 | 8メートル以上9メートル未満 9メートル以上10メートル未満 10メートル以上 | 24トン 25.5トン 27トン |
※「最遠軸距」とは、車両の最前輪のタイヤの中心から車両の最後輪のタイヤの中心までの距離のこと。
〈長さについての特例〉
長さについては、おおかたのトレーラ連結車について、高速自動車国道を通行する場合、一般的制限値を超えても下記の長さまでは緩和されています。
| 連結車 | 長さの最高限度 |
| セミトレーラ連結車 | 16.5メートル |
| フルトレーラ連結車 | 18.0メートル |
2.重さ指定道路・高さ指定道路とは?
(1)重さ指定道路
道路管理者が道路構造の保全及び交通の危険防止上、支障がないと認めて指定した道路であり、総重量の一般的制限値を車両の長さ及び軸距に応じて最大25トンとする道路のことです。要するに制限が緩和された道路のことをいいます。
(2)高さ指定道路
道路管理者が道路構造の保全及び交通の危険防止上、支障がないと認めて指定した道路であり、高さの一般的制限値を4.1メートルとする道路のことです。これも制限が緩和された道路のことをいいます。

3.取締りや罰則について
許可を取らずに特殊車両を通行させた場合、行政指導や罰則を受けることがあります。
(1)取締り
●警告と措置命令
①違反の程度が軽微であり、措置命令処分を行う必要がないと認められる場合は、警告書が発出されます。
②上記①以外の場合において、重量等の軽減等の措置が可能である場合には当該措置を、分割等が不可能である場合は必要に応じて通行の中止等の措置命令書が発出されます。
●報告徴収と立入検査
道路管理者は、限度超過車両を所有し通行させる者に対して、道路管理上必要な報告をさせ、またその職員に限度超過車両を所有する者の事務所等に立ち入り、通行の方法の記録等を検査させることができます。
(2)繰り返し特殊車両を違法に通行させた者等に対する措置
繰り返し特殊車両を違法に通行させた者等に対する行政指導を受けたにもかかわらず是正しない場合、行政指導内容が公表されます。また、許可なく又は許可条件に違反して許可に係る通行経路において、特殊車両をを常習的に通行させる等をした場合は、特殊車両通行許可の取消し、また、許可なく又は許可条件に違反して特殊車両を通行させ、死亡重傷等の重大事故を発生させた場合は、許可の取消しと同時に告発の対象となります。
(3)罰則
以下の罰則は、違反した運転者だけでなく、事業主体である法人又は事業主にも科されます。
●6ヵ月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
・道路管理者が道路標識によって通行を禁止又は制限しているトンネル、橋、高架道路等において、標識に表示されている制限値を超える車両を許可を受けずに運行した者、又は許可内容及び許可条件に違反して車両を通行させた者
・道路管理者又は道路監理員の通行の中止等の命令に違反した者
●100万円以下の罰金
・車両の幅、長さ、高さ、重さ、最小回転半径等で制限を超える車両を道路管理者の許可なく通行させた者、又は許可条件に違反して通行させた者
・特殊な車両を通行させるとき、許可証を備え付けていなかった者、又は書面(回答書)を備え付けていなかった者
・登録車両ごとに、通行経路、積載する貨物の重量、及び通行時間等の記録をせず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録の保存をしなかった者
・登録車両ごとに記録した通行経路、積載する貨物の重量、及び通行時間等の報告をせず、虚偽の報告をした者
・路線を定めて道路を自動車運送事業のために使用しようとする者又は反復して同一の道路に車両を通行させようとする者で、道路の補強等必要な措置を講じる命令に違反した者
●50万円以下の罰金
・車両制限令第5条から第12条までで定める基準を超える車両を通行させている者で、通行の中止、総重量の軽減、徐行等の道路管理者の命令を受けながら、それに違反した者
●30万円以下の罰金
・登録事項の変更、又は登録車両の使用を廃止したときに、その届出をしなかった、又は虚偽の届出をした者
・道路管理上必要な報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は道路管理者からの立ち入り検査を拒み、若しくは妨げた者
4.特殊車両通行制度(申請)について
(1)特殊車両通行許可制度の概要
事前に道路管理者に対し、車両諸元、通行経路等を指定した特殊車両通行許可申請を行い、許可を受けた範囲内で通行できるようになる制度です。申請を受けた道路管理者は審査を行い、必要な条件を付して通行の許可又は不許可の判断を行います。許可の場合は特殊車両通行許可証が交付され、許可された経路を通行でき、通行する際は条件を守り許可証を携行する義務が生じます。
●特車ゴールド制度(特殊車両通行許可簡素化制度)
特車ゴールド制度とは、国土交通省が窓口であるオンライン申請システムより、ETC2.0車載器をセットアップ・装着した車両の登録と、特車ゴールド制度の利用登録を行うことにより、許可更新手続きの簡素化及び大型車誘導区間における経路選択が可能となる制度です。
※大型車誘導区間とは…道路の老朽化への対策として、大型車両を望ましい経路へ誘導し、適正な道路利用を促進するために指定された道路のこと。
(2)特殊車両通行許可申請の手続き
特殊車両通行許可申請には、オンライン申請と窓口申請があります。オンライン申請には国(国土交通省)が窓口となる「オンライン申請システム」、地方自治体(例:大阪府)が窓口となる「自治体申請システム」があります。窓口申請は、従来通り官公庁の窓口へ出向いての申請になりますが、申請書類の作成にはオフライン用プログラムを利用することができます。
●オンライン申請システム(申請窓口:国〈国土交通省〉)
申請経路に、国が管理する道路が含まれる場合、又は大型車誘導区間の許可基準を満たし、申請経路に高速自動車国道が含まれる場合は、インターネットに接続されたパソコンを利用して、事務所や自宅等で申請書の作成から提出までオンラインで国の窓口へ申請することができます。ここでの注意点は、申請する経路に、国が管理する国道が少しでも含まれていることが必要です。国が管理する国道とはいわゆる「直轄国道」のことで、都道府県が管理している「補助国道」は含まれません。
国土交通省のオンライン申請システムは以下のURLをクリックしてみてください。各種申請マニュアルのダウンロードから申請ログインまでできるサイトになっています。
●自治体申請システム(申請窓口:地方公共団体)
申請経路に、国が管理する道路は含まれていないが、オンライン申請を行っている地方公共団体が管理する道路は含まれる場合、各地方公共団体が運営するシステムから申請することができます。ここでは大阪府の申請URLを添付しますので、一度ご確認ください。
●窓口申請(申請窓口:各都道府県や各市町村等の窓口)
申請経路に、国が管理する道路やオンライン申請を行っている地方公共団体が管理する道路を含まない場合は、各都道府県や各市町村等の窓口に出向いての申請になります。
●申請に必要な書類について
・特殊車両通行許可申請書
・車両の諸元に関する説明書
・通行経路表
・通行経路図…オンライン申請では原則不要
・自動車検査証の写し…オンライン申請では原則不要
・車両内訳書…包括申請の場合に必要
・道路管理者が必要とする書類…未収録道路を含む場合は、通行経路・出発地・目的地がわかる地図の添付が必要で、その他、超寸法車両の場合は車両の軌跡図が必要な場合もあります。(交差点等を曲がれるかどうかを判断するため)
●申請の種類について
①申請内容による区分
・新規申請…新たに特殊車両を通行させようとするときの申請になります。ただし、過去に申請した特殊車両であっても、新たに別のIDとパスワードで申請するときは、新規申請の扱いになります。
・更新申請…許可を受けている申請のうち、許可期間のみを更新する申請になります。
・変更申請…許可を受けている申請に許可期間の延長以外の変更が生じたときに行う申請になります。(例:車両の交換、車両台数の減少、申請者の変更等)
②申請車両台数による区分
・普通申請…申請車両台数が1台の申請になります。
(単車の場合はトラック等1台、連結車の場合はトラクタ1台・トレーラ1台)
・包括申請…申請車両台数が2台以上の申請になります。
(ただし、車種・通行経路・積載貨物・通行期間が同一であることが必要)
③申請経路による区分
・片道申請…申請経路が往路(片道)のみの申請になります。
・往復申請…申請経路が往復の申請になります。通常、往復での申請になりますが、往路では実車(積載貨物有)、復路では空車(積載貨物無)の場合や、経路により許可を得るため、往路と復路でルートを変える必要がある場合等は片道ずつの申請にする必要があります。
(3)申請の手数料について
申請経路が複数の道路管理者にまたがるときは、原則として申請書が受け付けられた時点で手数料が必要になります。国の機関の窓口では1経路200円で、都道府県及び政令市の窓口では、条例によって多少異なる場合があります。
〈申請手数料の計算方法〉
申請車両台数×申請経路数×200円
申請車両台数は、トラック1台ごと、連結車の場合はトラクタ1台ごとに計算します。
申請経路数は、片道1経路になりますので、1往復(1ルート)で2経路になります。
例:申請車両台数は4台で、申請経路数は12経路(6ルート)の場合
4台×12経路×200円=9,600円
(4)申請に対する審査期間、許可証等について
●審査期間について
申請書記載の受付日から許可日までの標準処理期間の目安ですが、新規申請及び変更申請の場合は、3週間~4週間、更新申請の場合は、2週間~3週間となっています。ただし、以下の3つのすべてに該当することが必要です。
・申請経路が道路情報便覧に記載の経路で完結している。
・申請車両が超寸法車両及び超重量車両でない。
・申請後に、申請経路や諸元等の申請内容の変更がない。
ただし、繁忙期等は新規申請の場合、1ヶ月~2ヵ月ほどを要する場合があります。
●許可証の交付
許可証の交付については、道路管理者から通知されます。オンライン申請の場合は、インターネットを利用して許可証データ(電子許可証)を受信できます。窓口申請の場合は、許可証を受取りに行く必要があるか、郵送してもらえるかは申請窓口により異なります。
●不許可
道路管理者は、特殊車両通行許可基準に照らして通行の可否について審査した結果、申請された車両が通行できないと判断した場合は不許可とします。その場合は、理由を記した「不許可通知書」で通知されます。
●許可証の有効期間(通行許可期間)
おおかたの車両は、優良事業者であれば最大4年間、その他の事業者は最大2年間となっています。対象となる優良事業者の車両の条件は以下の3つ要件をすべて満たす必要があります。
・ETC2.0車載器を搭載し、登録を受けた車両であること。
登録はオンライン申請システムよりおこなうことができます。
・違反履歴のない事業者の車両であること。
過去2年以内に違反(重量超過による警告等)の履歴が存在しないことが必要です。
・Gマーク認定事業所に所属する車両であること。
Gマーク認定とは、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が行っている「安全性優良事業所」のことです。
●許可証の携帯
交付された許可証は、通行時には必ず当該車両に備え付ける必要があります。
・許可証
・条件書
・通行経路表(未収録道路等、申請時に添付した場合)
・通行経路図
・車両内訳書(包括申請の場合)
特車ゴールド制度を利用した許可による通行の場合は、以下の書類も必要です。
・大型車誘導区間算定帳票
・大型車誘導区間経路図
上記許可証類については、紙媒体による代わりに電子媒体を電子機器(ノートパソコン、タブレット等)に入れて携行することもできます。そして、特殊車両の現地取締り等で許可証の提示を求められた際には、ドライバー自らその責任において電子機器を操作し、電子機器の画面に走行中の通行経路の許可証を表示させる義務があります。
※電子機器に故障、バッテリー切れ、電波の状況、機器操作の不慣れ等、その他の事情によって速やかに表示できない場合には、許可を得ていても、許可証不携帯として警告等の対象となります。
(5)通行条件について
道路管理者による審査の結果、許可が下りた場合でも、通行に必要な条件が付される場合があります。実務上はほとんど、C条件が付されることが多いです。(特に交差点や橋梁等)
| 条件 | 重量に関する条件 | 寸法に関する条件 |
| A | 特別な条件を付さない。 | 特別な条件を付さない。 |
| B | 徐行をすることを条件とする。 | 徐行をすることを条件とする。 |
| C | 以下を条件とする。 ①徐行をすること。 ②他の車両との距離を確保することに よって、通行する車線の一の径間を 同時に通行する他の車両がない状態 で通行すること。 ③上記②のため、許可車両の後方に 1台の誘導車を配置し通行すること。 | (屈曲部、幅員狭小部又は上空障害個所 の通行の場合)以下を条件とする。 ①徐行をすること。 ②対向車との衝突、接触その他事故の 危険を生じさせない状態で通行すること。 ③上記②のため、許可車両の前方に1台 の誘導車を配置し、その連絡又は合図を 受けて通行すること。 (交差点を左折又は右折の場合) 以下を条件とする。 ①徐行をすること。 ②対向車との衝突、接触その他事故の 危険を生じさせない状態で通行すること。 ③上記②のため、許可車両の前方に1台 の誘導車を配置し、その連絡又は合図を 受けて、誘導車に続いて左折又は右折を すること。 |
| D | 以下を条件とする。 ①徐行をすること。 ②他の車両との距離を確保することに よって、通行する車線の一の径間を 同時に通行する他の車両がない状態 で通行すること。 ③上記②のため、許可車両の後方に 1台の誘導車を配置し通行すること。 ④隣接する車線の前方(隣接する車線 が同一方向の車線である場合は後方) を十分に確認し、他の車両が隣接車線 を通行しようとしているときは橋梁等 への進入を控えることなどによって可 能な限り、隣接する車線における一 の径間を同時に通行する他の車両が ない状態で通行すること。(すれ違い 、追越し等によってやむを得ず他の 車両が一の径間を通行することとなる ときは一時停止すること) | — |

以上、特殊車両通行許可申請についてご説明させていただきました。この申請のポイントは車両の寸法や重量等の情報(車検証の内容+車両の諸元表や図面の内容)の整理と、目的地までの経路の選定になり、その内容を電子申請であればシステム内に入力していくことになります。行政書士が一般的に扱う各種許認可申請の内容とはかなりの相違がありますので、特車申請を扱える行政書士は少ないと感じております。特殊車両についてのご相談がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください!


