外国人ビザ(在留資格)申請について〈就労系各種ビザについて〉

 【 ビザ(在留資格)を取得するのはどうすればいいか?】
 
ここからは、出入国在留管理庁(入管)へのビザ(在留資格)について解説させていただきます。まず、「ビザ」と「在留資格」についてですが、正確には意味は異なります。
ビザ…外務省が発行するもので、世界各国にそれぞれ在外日本大使館がありますが、そこで発行される「査証」のことで、日本への入国の許可証になります。
在留資格…法務省(出入国在留管理庁)が発行するもので、日本国籍を有しない外国人が日本に滞在するための資格になります。
 しかし一般的に、在留資格を「ビザ」と言うことが多いため、以降の解説でもおおかた同じ意味ようにに記載させていただきます。
 
 
  
前ページの、建設業許可・産廃物収集運搬業許可・宅建業免許とも、申請書類・添付書類をきちんと用意して申請すれば、欠格要件等に該当しない限り、ほぼ100%許可は下ります。しかし、外国人ビザ関連の出入国在留管理庁への申請は、申請書類をきちんと用意して申請したからといって、許可が得られるとは限らないんです。というかむしろ、入管のホームページに記載・ダウンロードできる申請書類だけでは、許可率は下がります。追加で理由書や写真等を添付し、審査官を納得させる資料を考えて用意しなければなりません。だからより、我々行政書士の腕の見せどころでもあります。
外国人の方々が日本に滞在し、仕事や生活をするためには、ビザ(在留資格)の許可を得る必要があります。許可を得るためには許可要件というものがあり、大きく分けると以下の3つに分類されます。
 
〈在留資格該当性〉
外国人が日本に正規に滞在するには、出入国管理及び難民認定法に規定されている、29種類の在留資格のどれかに該当する活動を行おうとする目的でなければなりません。具体例を挙げると、就労系のビザでは、ホワイトカラー系の仕事に従事することが主な目的になる「技術・人文知識・国際業務」、介護・製造・建設・外食等の各現場での就労が目的になる「特定技能」、日本での起業が主な目的になる「経営・管理」、身分系のビザでは、日本人と結婚して日本に住む場合に必要になる「日本人の配偶者等」、日本に今後永住することが目的となる「永住者」…のように、それぞれのビザ(在留資格)の活動範囲が法律で規定されています。
 
〈基準適合性
29種類の在留資格ごとに、それぞれベースとなる「基準」があります。
例えば「技術・人文知識・国際業務」ならば、日本か海外の大学を卒業し、学士(学位)を取得していること、という条件があります。就労系のビザでは、多くが在留資格の基準として、「日本人と同等の報酬を受けること」とありますが、入国管理局が各企業の日本人の報酬の全てを把握することは不可能であるので、大卒初任給の相場等を考慮にいれて総合的に判断しているのが実情です。
 
〈相当性〉
申請に対する許可をするかどうか、「在留資格該当性」と「基準適合性」で総合的に判断し、「適当と認めるに足りる相当な理由」があるか、申請人である外国人が日本に将来にあたって安定的かつ継続的に在留することができるかどうかが、慎重に審査されます。
 
【就労系ビザとは?】
 
文字通り、日本国内において仕事をするためのビザになります。「就労系」といわれるビザは、全部で19種類ありますが、このページでは、中でも特に企業様からの問合せの多い、「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「高度専門職」「特定技能」「技能」これらをそれぞれご説明致します。
 
●技術・人文知識・国際業務
いわゆるデスクワーク中心の「ホワイトカラー系」の仕事を行うビザになります。
もともと、「技術」と「人文知識・国際業務」に分かれていました。いわゆる、技術が「理系」で、人文知識・国際業務が「文系」という分け方です。それが2015年の法改正により、両ビザが統合されました。主な理由としては、大学で文理融合の専門課程が増えていることや、企業での職務も、単純に文系・理系と分けることが難しくなってきているのが背景にあります。このビザの許可の主なポイントは、大学・短大・専門学校での専攻と就かれる職務に関連性があるかどうかになります。同時に、外国人が就労する企業も審査の対象になります。
 
〔在留資格該当性について〕
技術:理学、工学、その他の自然科学の分野に関する技術・知識を要する業務。いわゆる理系の職種になり、例えば製造メーカーの技術者や開発者、IT技術者等がこれに該当します。
人文知識:法律学、経済学、その他の人文科学の分野に関する技術・知識を要する業務。いわゆる文系の職種になり、人事、経理、法務等の管理系専門職や営業職がこれに該当します。
国際業務:外国の文化に基盤有する思考若しくは感受性を必要とする業務。具体的には翻訳、通訳、デザイナー、 貿易担当者、語学教師等がこれに該当します。
 
〔基準適合性について〕
(1)学歴要件
①「大学(日本・海外)を卒業していること
 審査では、「学士取得=学士課程修了」が一つの目安となっており、海外の学位証明書は「Bachelor Degree」と表記されています。
②「大学と同等以上の教育を受けていること」
 日本の短期大学はこの基準を満たしま。海外の教育制度は、日本の、6・3・3・4年制度とは異なる制度やコースがあります。そのため大学と同等以上の高等教育を終了したかを判断するのは、文科省がウェブサイト上に世界の学校体系をまとめていますので、その資料から対象国の高等教育の範囲を確認する必要があります。
③「日本の専門学校を卒業し、「専門士」あるいは「高度専門士」の取得していること」
 あくまで「日本」の専門学校に限定されています。審査にあたっては、大学より専門学校のほうが、専攻課程と職務内容との関連性がより厳格に審査されます。
ちなみに、「日本語学校」を卒業のみでは、学歴要件を満たしません。日本語学校入学前に母国で大学を卒業しているか、日本語学校卒業後に日本で大学か専門学校に入学し、卒業することが条件になります。
 
(2)職歴要件〈対象者が学歴要件を満たさない場合、職歴要件を検討します〉
①技術・人文知識にかかる業務の場合
  「従事しようとする業務に関連する職務内容で、10年以上の実務経験を有すること」 実務経験には、大学や専門学校等の専門課程において、当該技術又は知識に関連した科目を専攻した期間も含まれます。例えば、大学で情報通信の学士課程を3年間終了後、大学を中退し、その後IT関連の業務に7年以上従事した場合、その期間及び単位の取得状況等を疎明できれば、10年間の実務経験を有すると認められます。ただし、その実務期間7年間が真にIT関連に従事したということを証明するために、必要に応じて職務経歴書や在職証明書を提出してそれらを疎明する必要があります。
②国際業務の場合
 「従事しようとする業務(翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾 若しくは室内装飾にかかるデザイン、商品開発その他)について、3年以上の実務経験を有すること」ただし、「大学を卒業した者が、翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない」要するに、実務経験は不要になります。
海外取引業務は、貿易会社等での外国人の職務において多くの事例があり、他の通常の営業職であっても、海外の会社を相手にする業務も含まれる場合、学歴要件を満たさなくても、3年間の実務経験によりこのビザを取得できる可能性があります。日本語学校の卒業のみの場合でも、日本語学校入学前に母国において、上記のような実務経験があれば、許可される可能性はあります。

(3)IT告示 
  学歴も職歴も基準を満たさない場合でも唯一認められるのは、「技術の情報処理分野に 従事する」場合であって、かつ法務大臣が定める情報処理試験に合格、又は情報処理資格を有している場合です。これは、法務大臣告示で定められています。

日本(ITストラテジスト試験・応用情報技術者試験・基本情報技術者試験・上級システムアドミニストレーター試験他)
中国(系統分析師・信息系統項目管理師他)
ベトナム(基本情報技術者試験・応用情報技術者試験他)

(4)日本人と同等以上の報酬について
  「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」報酬の月額は、賞与等を含めた、1年間従事した場合に受ける報酬の総額の12分の1で計算します。報酬とは、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」をいい、通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものを除く)は含まれません。しかし実務上では、入国管理局において、個々の企業それぞれの報酬基準を把握することは困難でであることから、大卒初任給の平均的な給与(月額18~20万円)を目安に、審査をしているのが実状です。

(5)企業規模に応じてのカテゴリー分類と提出必要書類
   技術・人文知識・国際業務等の就労ビザの申請においては、企業規模に応じてカテゴリーを4分類に設定し、カテゴリー1・2の企業は必要書類が簡素化されています。カテゴリーの分類は以下の通りです。

・カテゴリー1
  日本の証券取引所に上場している企業/保険業を営む相互会社/日本又は 外国の国・地方公共団体・独立行政法人/特殊法人・認可法人/日本の国・地方公共団体の公益法人/法人税法別表第1に掲げる公共法人高度専門職省令の一部条件に該当する対象企業(イノベーション企業)
・カテゴリー2
  前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が、1000万円以上ある団体・個人
カテゴリー3
  前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) 多くの中小企業が、このカテゴリーに該当します。
・カテゴリー4
  カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出されていない企業を指し、主には設立後まもなく、1月末の提出期限を迎えていない企業が対象になります

〔提出必要書類の例(就労系ビザ全般)〕
①‐1 在留資格認定証明書交付申請書(海外から呼び寄せる場合)
①‐2 在留資格変更許可申請書(既に留学等の在留資格を得て日本に滞在している外国人  で、この度、就職等により在留資格を変更する必要がある場合)
①‐3 在留期間更新許可申請書(現在の在留資格の有効期限が近づき、その更新を必要とする場合)
②写真 4cm×3cm  1枚 ※申請書に貼付
③返信用封筒(認定証明書交付申請のみ)※定型封筒 404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの
④前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表 ※写し
⑤雇用契約書/労働条件通知書
⑥履歴書
⑦学位証明書/職歴証明書
⑧会社案内
⑨登記事項証明書
⑩直近年度の決算文書の写し
⑪雇用理由書

ちなみに、⑪雇用理由書は必須書類ではありません。活動内容(在留資格該当性)や申請人の経歴・雇用条件(基準適合性)に疑いの余地がなければ提出する必要はありません。また、④給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写しは、カテゴリー1(上場企業)の場合は、四季報の写しに代わります。カテゴリー1/2については、⑤雇用契約書/労働条件通知書以下の書類の提出を省略することが可能です。このように、カテゴリー1/2の企業は申請書類が簡素化され、審査期間も短い傾向にあります。これは企業規模が大きいことにより、入国管理局での審査において、企業の信用度が高いことが理由になっています。

●企業内転勤
この在留資格はわかりやすくいうと、一定の関係を有する外国の企業等から日本国内の企業等に転勤をする場合ですが、「一定の関係」の定義は審査要領で詳細に定められており、例えば、「主たる取引相手」程度では一定の関係があるとは認められません。日本でおこなう業務内容、職業については、技術・人文知識・国際業務と同じで、いわゆる単純労働は認められません

 〔在留資格該当性について〕
  「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して、当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」

(1)日本に本店、支店その他の事業所のある公的機関、企業等
  駐在員事務所のような、法人格のない事業所の場合は、事務所が実在すること、活動内容および活動計画等を詳細に説明する必要があります。

(2)期間を定めて転勤
  期間を定めての転勤であることが求められます。期間の定めなく日本で就労する場合は、技術・人文知識・国際業務に該当します。また、技術・人文知識・国際業務と異なり、学歴等の要件が課されていません。

「転勤」が可能な範囲は、同一会社内での異動(本店⇔支店)と、グループ会社内での異動のみが対象になります。

・グループ会社間での異動① 
a. 外国子会社から日本親会社への異動
b. 日本子会社の外国子会社(外国孫会社)から日本子会社への異動
c. 日本子会社の外国子会社(外国孫会社)から日本親会社への異動
d. 外国子会社から日本親会社の日本子会社への異動(兄弟会社間)
e. 日本子会社の海外子会社(外国孫会社)から他の日本子会社への異動(兄弟会社の子     会社(孫会社)間)
f.  外国孫会社から日本孫会社への異動(孫会社間)
g. 日本孫会社の外国子会社(海外曾孫会社)から日本孫会社への異動(孫会社と曾孫会
    社間)
「曾孫会社間」の異動は原則、企業内転勤の対象にはなりませんが、例えば、親会社から子会社、孫会社および曾孫会社まで一貫して100%出資している場合は、孫会社も曾孫会社も親会社のみなし子会社といえるため、例外的に企業内転勤として認められます。

・グループ会社間での異動② 
h. 外国関連会社から日本企業(親会社)への異動
i.  日本企業の日本子会社の外国関連会社から日本子会社への異動
※「関連会社間」の異動、「親会社と子会社の関連会社間」の異動は、企業内転勤の対象にはなりません。

・「親会社」「子会社」「関連会社」とは?
これらについては、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の定義が準用されています。親会社とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関を支配している会社をいい、例えば「他の会社等の議決権の過半数を有している」、「他の会社等の議決権の100分の40以上100分の50以下を有し、その取締役会を構成する取締役の過半数を占めている」場合等が該当します。そして支配されている側(他の会社等)を子会社といい、子会社の子会社(孫会社)も親会社の子会社とみなされます(みなし子会社)。関連会社とは、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる会社等(子会社以外)をいい、例えば、「議決権の100分の20以上を有している」、「議決権の100分の15以上100分の20未満を有し、その取締役会を構成する代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職の過半数をを占めている」場合等が該当します。

基準適合性について
(1)外国にある事業所に直近1年以上勤務している職員であること
  直近1年以上、外国にある事業所(支店・本店・親会社等)で、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に継続して従事している必要があります。例えば、外国の親会社で営業職として1年以上従事している場合はこの要件を満たし、また、外国の子会社に2年間勤務しており、最初の1年間は生産現場での作業業務(技術・人文知識・国際業務に該当しない業務)だったが、その後に異動があり、直近1年間は開発者として開発業務に従事している場合もこの要件を満たします。しかし例えば、外国の子会社に2年間勤務しており、最初の1年間は技術職だったが、直近の1年間は生産現場での作業に従事していた場合、要件を満たさないことになります。あくまで、「直近1年以上」技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事していたことが求められます。なお、日本で従事する業務と同じ又は関連する業務であることまで求められておらず、例えば、外国の親会社では「営業職」であった人が、日本では「総務職」に従事することは認められます。
また、直近1年の間に企業内転勤にて他の日本子会社で働いていたような場合、その期間も「直近1年以上」に含むことができます。例えば、日本の他の子会社で企業内転勤で3ヶ月勤務後、外国の親会社で9ヶ月勤務という場合は、「直近1年以上」の要件を満たすことになります。

(2)日本人と同等以上の給与
  企業内転勤も技術・人文知識・国際業務と同様、日本人と同等以上の給与を支払う必要があります。ただし、給与を支払う者については限定されておらず、給与の支払い元が日本企業であっても、出向元の外国企業であっても、その両方であっても構いません。仮に両方から支払われている場合は、合算した額が日本人と同等以上かどうかで判断されます。しかし、例えば現地では高給であったとしても、日本円に換算すると日本人と同等以上に及ばない場合は、要件を満たさないので、日本側で報酬を支払う必要があります。

(3)その他の要件
  同じ法人(本店→支店)間の転勤であれば、別途支店と雇用契約書を取り交わす必要はありませんが、別法人の場合(親会社→子会社)は、別途子会社とも雇用契約書を締結する必要があります。

〔コンプライアンス上問題となる事例〕
・転勤者の更なる出向
  企業内転勤は、外国にある事業所からの転勤者を受け入れるための在留資格ですので、原則、転勤者の再転勤(日本国内での出向)は認められません
企業内転勤で受け入れることができる範囲内で、出向先と雇用契約等を締結する場合は、日本国内での出向も認められるとされています。外国の親会社から職員を受け入れた日本の子会社から、更に別の子会社へ出向させる場合です。しかし、顧客先等の取引先へ出向させることはできません。いわゆる在籍出向もNGです。このような業務に従事させた場合、企業内転勤の期間が延長されて更新手続を行うこととなった場合、更新手続が認められない可能性が非常に高いです。更新申請の際には、これまでの在留期間においての業務内容・実績等も提出する必要がありますので、更新不許可の要因となります。

●高度専門職
2015年4月より、国際競争力の強化に貢献できる高度人材とされる外国人の受入れを促進することを目的に、学歴・実績等が優秀な高度人材外国人の日本への受入れを一層促進するため、所定のポイントを満たす高度人材外国人に、他の在留資格よりも活動制限を緩和したり、優遇措置を受けられる在留資格「高度専門職1号イ/ロ/ハ/2号」が創設されました。在留期間は一律5年間が付与されます。ただ、優遇措置は外国人個人が受けられるもので、企業側についての優遇措置は規定されていないため、外国人に「高度専門職」の在留資格を取得させるかの対応は、各企業により様々となっています。

・高度専門職1号イ(高度学術研究活動)
   主たる活動内容は、研究、研究の指導又は教育をする活動になり、職業例としては、大学教授や研究者等があたります。
高度専門職1号ロ(高度専門・技術活動)
   主たる活動内容は、自然科学又は人文科学の分野に属する知識・技術を要する活動になり、職業例としては、エンジニア、経理、法務、営業等があたります。
いわゆる「技術・人文知識・国際業務」の内容になります。
・高度専門職1号ハ(高度経営・管理活動)
   主たる活動内容は、事業の経営又は管理に従事する活動になり、職業例としては、企業の取締役、管理職等があたります。

・高度専門職2号
   1号イ・ロ・ハと同様の活動になり、1号の在留資格で3年以上経過し、その他所定の基準を満たせば、高度専門職2号を取得でき、主なメリットは在留期限は無期限となりますので、在留期間更新許可申請が不要になることです。

〔在留資格該当性について〕
・高度専門職1号イ
 「法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて」と規定されておりますので、許可時に主に活動する機関(研究所や大学等)を指定されます。なので、転職等で主に活動する機関を変更する場合は、新たに法務大臣から主に活動する機関の指定を受けるために、在留資格更新許可申請を行う必要があります。(1号ロ・ハも同様です)また、主たる活動の内容は、在留資格「教授」「研究」「教育」に相当する活動と重複しており、そのため基本的には、「教授、研究、教育」の在留資格に該当する活動を予定しているかたが、「高度専門職1号イ」に係るポイント基準を満たせる状況であれば、在留資格「高度専門職1号イ」を選択することが可能となります。また、主たる活動と並行して主たる活動と関連する事業を自ら経営することや、主たる活動を行う機関以外の日本の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動が認められています。

高度専門職1号ロ
  1号ロも同様に、転職等で主に活動する機関を変更する場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。主たる活動の内容は、自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動と規定されており、在留資格「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」に相当する活動と重複していますので、基本的には、「技術・人文知識・国際業務、企業内転勤」に該当する活動を行う予定のかたが、「高度専門職1号ロ」に係るポイント基準を満たせる状況であれば、在留資格「高度専門職1号ロ」を選択することができます。また主たる活動と並行して、関連する事業を自ら経営することが認められていますので、例えば、企業でWEB制作等に携わっていれば、副業でホームページ制作を請負う会社を経営することも可能となります。

・高度専門職1号ハ
  1号ハも同様に、転職等で主に活動する機関を変更する場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。主たる活動としては、貿易その他の事業の経営を行い、もしくは当該事業の管理に従事する活動と規定されており、在留資格「経営・管理」の相当する活動と重複していますので、基本的には、「経営・管理」に該当する活動を予定されているかたが、「高度専門職1号ハ」に係るポイント基準を満たせる状況であれば、在留資格「高度専門職1号ハ」を選択することができます。また主たる活動と並行して関連する事業を自ら経営する活動も認められていますので、例えば、英会話等語学学校の代表取締役として主たる活動として行いながら、その子会社の語学関係の教育教材販売事業の取締役として活動することが可能となります。

・高度専門職2
 「高度専門職1号イ/ロ/ハ」の在留資格をもって3年以上日本に在留し、素行が善良等の基準を満たせば、「高度専門職2号」の取得が可能となり、活動制限が大幅に緩和されます。まずは、高度専門職1号イ/ロ/ハの在留資格で行うことができる活動と並行して、在留資格「教授」「芸術」「宗教」「報道」「法律・会計業務」「医療」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興行」「技能」、各それぞれで行うことができる活動も行うことが認められています。それと、1号の場合は転職等の際、在留資格変更許可申請が必要になりましたが、2号では必要ありません在留期間は無期限となりますので、在留期間更新許可申請も必要なくなります。

 〔基準適合性について〕
高度専門職1号を取得するためには、学歴、職歴をはじめとする10項目について、高度専門職1号イ/ロ/ハ別にそれぞれについてポイント基準点が設けられており、その合計点が、70点以上になる必要があります。では、それぞれの10項目について、以下にご説明します。

(1)学歴について
  博士号取得者、修士号取得者又は専門職学位、大学卒業又はこれと同等以上の教育を受けた者、複数の分野で博士号・修士号・専門職学位を有している者、告示で定めた大学等を卒業した者、MBA・MOTを有している者。学歴を疎明する資料としては、卒業証明書や学位証写しを提出します。

(2)職歴について
  10年以上、7年以上10年未満、5年以上7年未満、3年以上5年未満。従事しようとする業務に関連する業務の職歴があれば、ポイント加算が可能です。職歴が長い程点数が高く設定されていますが、アルバイトや大学等の教育機関における研究期間等は年数には含まれません。職歴を証明する資料としては、在籍していた企業等が発行する在職証明書等を提出します。

(3)年収について
  上は年収3000万以上から下は400万以上500万未満まで、11段階に分けられています。年収に換算できる「報酬」とは、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」とされており、通勤手当、住宅手当等の課税対象とならない実費弁償の性格を有するものはポイント計算における年収には含まれません。
残業代については、申請時において、どの程度の残業が生ずるかが不明確なので、ポイント計算の年収に含めることはできません。年収は今後1年間に所属機関から受ける報酬をいいますが、申請人が外国企業から日本の企業へ出向して受け入れられる場合などは、出向元の外国企業から受ける報酬も、ポイント計算に含めることができます。年収を疎明する資料は、所属機関が発行する年収見込証明書や雇用契約書の写し等を提出します。
高度専門職1号ロ/ハの場合は、年収が300万円以上であることが要件となっているため、ポイント合計で70点以上となった場合でも、年収が300万円未満の場合は、高度専門職1号ロ/ハの要件は満たさないことになります。

(4)年齢について
  30歳未満、30歳以上34歳以下、35歳以上39歳以下に分かれており、(高度専門職1号ハを除く)年齢が若い30歳未満が一番点数が高く設定されています。ポイント計算の基準ですが、在留資格認定証明書交付申請の場合は、申請書に記載された入国予定日における年齢、在留資格変更許可申請の場合は、申請時における年齢に基づいて計算します。

(5)研究実績について
  特許の発明1件以上、入国前に外国の公的機関から補助金を受けた研究に3回以上従事した実績、責任著者としての学術論文3本以上、別途法務大臣の個別判断、これらの証明ができればポイント加算対象になります。 (高度専門職1号ハを除く)

(6)地位・役職について
  高度専門職1号ハのみに対象とされており、所属機関の代表取締役(取締役)、代表執行役(執行役)又は業務を執行する社員(代表権を有する者に限る)として当該機関の事業の経営又は管理に従事する場合。地位・役職を証明する資料として、所属機関の現在事項全部証明書等を提出します。

(7)資格について
  高度専門職1号ロのみのポイント計算において対象とされており、日本の国家資格については、いわゆる業務独占資格(弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士等)か、名称独占資格(中小企業診断士、社会福祉士等)がポイント計算対象になりますが、従事する業務に関連していることが必要になります。外国の資格については、法務大臣から認定されているものが対象になり、例としては、国際会計検定、外国弁護士、米国公認会計士、グッドデザイン賞、アジアデザイン賞等があります。これらの資格等を証明する資料は、資格証や賞状等の写しを提出します。

(8)日本語能力について
・日本の高等教育機関において学位を取得
   学校教育法上の大学及び放送大学を卒業し、「学士・修士・博士・短期大学士」等を取得した場合がポイント付与の対象になります。
日本語能力試験N1取得者又は外国の大学において日本語を専攻して卒業
 「日本語能力試験」N1に合格している方、又は「BJTビジネス日本語能力テスト」において480点以上を得点した方が対象になります。外国の大学において、日本語学、日本語教育学等に係る学部・学科・研究科等を専攻していたことが必要です。
日本語能力試験N2取得者
 「日本語能力試験」N2に合格している方、又は「 BJTビジネス日本語能力テスト」において、400点以上を得点した方が対象になります。なお、日本の高等教育機関において学位を取得した方や、日本語能力試験N1取得者又は外国の大学において日本語を専攻して卒業した方との重複してのポイント加算はできません。これらの疎明は、試験合格証や卒業証明書の写しの提出が必要です。

(9)所属機関(受け入れる企業等)に関すること
・法務大臣が指定するイノベーションを促進するための支援措置を受けている会社等
   法務大臣告示で列挙された補助金の交付や支援措置を受けている企業が対象になります。これらを疎明する資料は、認定・承認を受けた通知書や補助金交付決定通知書等の写しの提出が必要になります。
・上記の場合で、就労する会社等が中小企業の場合
   中小企業庁のホームページに定義が記載されています。
・国家戦略特別区域高度人材外国人受入れ促進事業の対象企業として支援を受けている
  現在はまだ少数で、主には東京都が実施する金融系外国企業発掘・誘致事業において、同事業による支援のもと、投資計画書を東京都に提出した企業等があります。
・研究費等の比率が売上の3%超の中小企業
いわゆる「研究開発型中小企業」で就労する外国人に係る加点項目になります。
これらの疎明は、登記事項証明書、決算書(試験研究費及び売上高が記載された財務諸表含む)、賃金台帳等の従業員数を証する文書等の提出が必要です。

(10)その他
・法務大臣が定めた研修を終了
  外務省が実施するイノベーティブ・アジア事業の一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する研修で、研修期間が1年以上のものが対象になります。
・成長分野における先端的な事業に従事
   法務大臣が先端的事業として認定しているものに限ります。医療研究開発革新基盤創成事業、医療・介護・健康データ利活用基盤高度化事業、元素戦略プロジェクト等。
・経営する事業に1億円以上の投資を行っている
  高度専門職1号ハのみが対象になります。疎明資料には出資していることが確認できる株主名簿等を提出します。 

〔ポイントを計算する時点について〕 
 (1)ポイント計算を行う時点の原則
  原則は、在留資格変更許可を受ける時点、在留資格更新許可を受ける時点になります。例えば、大学卒業後に就職する方が、「高度専門職1号ロ」への在留資格変更許可申請を行う場合、申請時点ではポイントを満たせていなくても、当該申請の許可を 受ける時点でポイントを満たせていれば、許可を受けることができます。

 (2)申請や裁決時点を基準とするみなし規定
  原則は上述のように許可を受ける時点ですが、申請の時点を基準としてポイントを計算し、それぞれポイントが70点に達している場合には、許可を受ける時点において70点に達しているものとみなされる規定があります。例えば、間もなく誕生日を迎え、年齢でのポイントが減ってしまうような場合、誕生日前に申請すれば、このみなし規定により在留資格変更許可申請時点(誕生日前)でのポイント計算を行うことができるため、必要なポイントを満たすことができます。

在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)においては、申請書に記載する入国予定日を基準としてポイント計算をします。仮に審査中に入国予定日を経過した場合は、新たな入国予定日を確認した上でポイント計算をすることになっています。

〔高度専門職を申請するメリット〕 
親の帯同
  他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、企業内転勤等)では、配偶者や子を帯同するための在留資格として「家族滞在」がありますが、親の帯同は認められていません。「高度専門職」のかたの場合、一定の要件の下で親の帯同が認められています。
その要件は、高度専門職のかた又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含む)を養育する場合か、高度専門職のかたの配偶者又は妊娠中の高度専門職のかたの介助を行う場合で、次の要件を満たすかたは、高度専門職のかたの親、又はその配偶者の親(養親含む)の帯同が認められます。
(a)世帯年収が800万以上あること
(b)高度専門職のかたと同居すること
(c)高度専門職又はその配偶者のどちらかの親に限ること
例えば、高度専門職のかたの親を帯同する場合は、高度専門職のかたの両親の帯同は可能ですが、高度専門職の父と、高度専門職の配偶者の母を同時に帯同することはできません。
・在留歴に係る永住許可要件の緩和
  永住許可を受けるためには、通常は原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要ですが、「高度専門職」としての活動を引続き3年以上行っている場合や、ポイント計算において80点以上としての活動を引き続き1年以上行っている場合には、在留歴に係る永住許可の要件を満たしたこととして審査されます。なお、この緩和の要件は、「高度専門職」の在留資格の許可を受けていないかたでも、永住許可申請時の3年前から70点以上、又は1年前から80点以上のポイントの疎明ができれば適用されます。

複合的な活動が可能となる
  他の就労ビザでは、許可された在留資格で認められている活動しかできませんが、高度専門職のかたの場合、例えば、一般企業でWEBデザイナーとして働きながら、個人事業主として、ホームページ制作を請負う仕事をすることも可能です。

・在留期間が「5年」または「無期限」となる
  高度専門職「1号」のかたには、一律5年の在留期間が付与され、「2号」のかたは在留期間が「無期限」になります。

家事使用人の帯同
  家事使用人の帯同は、従来「経営・管理」「外交」「公用」で在留する一部の外国人に対しては認められていましたが、「高度専門職」の在留資格にも新たに一定の要件の下で外国人の家事使用人の帯同が認められるようになりました。

(a)外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合(入国帯同型)、次の要件を全て満たす必要があります。
1. 世帯年収が1000万円以上であること
2. 他に家事使用人を雇用していないこと
3. 家事使用人への報酬が20万円/月 以上であること
4. 雇用主である高度専門職のかたと同時入国する場合は、帯同する家事使用人が入国前に1年以上雇用主に個人的に雇用されていること、また雇用主が先に日本に入国する場合は、前者に加えて、雇用主の日本入国後も、雇用主または雇用主が本国で同居していた親族に引き続き雇用されているかたであること

(b)上記(a)以外の場合(家庭事情型)は、次の要件を全て満たす必要があります。
上記1.2.3と、
4. 申請時点で、高度専門職ののかたの13歳未満の子がいる又は、フルタイムの仕事や病気等により日常の家事に従事することができない配偶者がいる場合であること

配偶者の就労
  他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、企業内転勤等)の在留資格を持つかたの配偶者は、「家族滞在」の在留資格を得て「資格外活動許可」を得れば、週28時間以内でパート・アルバイトは可能ですが、「高度専門職」のかたの配偶者は、学歴や職歴等の要件を満たさない場合でも、「特定活動」の許可を受けることで、フルタイムの就労が可能になります。ただ、就職先を決めてから申請する必要があります。

・入国・在留手続きの優先処理
  高度専門職に係る入国・在留審査は優先的に早期処理が行われ、認定証明書交付申請の場合は申請受理から10日程、変更許可申請や更新許可申請の場合は申請受理から5日程が目途とされています。ただし、特に混雑している繁忙期(12月~3月)では、目安通りにはいかないようです。

●特定技能(現場作業を含む在留資格)
20194月より、新たな在留資格「特定技能」が誕生しました。これまで法務省(出入国在留管理庁)は、ホワイトカラー職種で、高学歴な外国人を中心に就労系のビザ(技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、高度専門職等)の発行をしてきました。
しかし、少子高齢化が進行し、現場労働の人手不足が問題となり施行されたビザ(在留資格)がこの「特定技能」と呼ばれるものです。いわゆる人手不足が顕著な現場労働(建設業、製造業、介護、農業、漁業、飲食関係他)の労働力確保を目的として創設されました。
技能実習」という在留資格がありますが、これは日本のあらゆる技術を開発途上国へ移転し、発展に貢献する「国際貢献」がその制度趣旨ですが、「特定技能」は、昨今の深刻な人手不足に対応するたため、労働力を確保することを目的に制度化された在留資格です。しかし、技能実習でも問題になっているように、外国人労働者を安価な労働力と考え過酷な労働条件で働かせることが起きないよう、さまざまな厳しい要件が設けられています。
特定技能1号/特定技能2号…特定技能には1号と2号があり、主な違いは在留期間については1号は通算で5年、2号は上限無し、配偶者や子の帯同については1号は原則不可、2号は要件を満たせば可能等があります。今のところは2号への移行は、「建設分野」と「造船・舶用工業分野」の2業種のみ、となっています。

〔在留資格該当性について〕

特定技能で認められる活動内容(在留資格該当性)は、以下5つの要件をすべて満たす必要があります。
(1)産業分野に関する要件
(2)従事する業務に関する要件
(3)受入れ機関に関する要件
(4)雇用に関する契約に関する要件
(5)支援計画に関する要件(1号のみ)
特定技能の在留資格を取得する際だけでなく、特定技能で活動する在留期間中は常に上記5つの該当性のある活動が求められます。このうち1つでも満たさなくなると、不法就労となってしまいますので、入管法や労働関係法令に詳しい行政書士や社会保険労務士のアドバイスを受け、支援計画に沿った支援の実施や届出義務を遵守することが重要となります。

(1)産業分野に関する要件について
  特定技能外国人を受け入れることができる事業所は、人手不足が深刻とされている14の産業分野に限られています。ただしこの14分野以外にも、人手が足らない分野やが多々存在しており、現在進行形で議論が継続されていますので、今後はさらに増えることが予想されています。しかし現時点では、この14産業分野に該当しない事業所は特定技能外国人を受け入れることはできません。そのため、特定技能外国人の受入れを検討する際はまず、自社で当該外国人が活動する事業所がこの14の産業分野に該当するかどうかの確認が必要になります。

➀介護分野 ②ビルクリーニング分野 ③素形材産業分野 ④産業機械製造業分野 
⑤電気・電子情報関連産業分野⑥建設分野 ⑦造船・舶用工業分野 ⑧自動車整備分野 ⑨航空分野 ⑩宿泊分野 ⑪農業分野 ⑫漁業分野 ⑬飲食料品製造業分野 ⑭外食業分野

この14の特定産業分野に該当するかの確認は、分野別に公表されている運用要領で確認することができます。
特に製造業3分野(③素形材産業④産業機械製造業分野⑤電気・電子情報関連産業分野)では、日本標準産業分類の細分類まで確認が必要になります。

(2)従事する業務に関する要件について
  特定技能外国人が従事できる業務は、特定産業分野ごとに定められており、試験区分も決められています。各分野内のそれぞれの業務については、同様の業務を行う日本人が通常行っている関連業務も従たる業務として行うことができます。例えば、自動車整備分野で主たる業務として、自動車の日常点検整備等を行っている特定技能外国人であれば、同様の業務を行っている日本人従業員が通常行っている自動車の洗車や作業場の清掃等も従たる業務として行うことが許容されています。

➀介護分野〕身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクレーションの実施、機能訓練の補助等)訪問介護サービスは対象外です。試験区分は1区分のみです。

②ビルクリーニング分野建築物内部の清掃 試験区分は1区分のみです。

③素形材産業分野鋳造、鍛造、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、
仕上げ、機械検査、機械保全、塗装、溶接ダイカスト、機械加工、金属プレス加工 13試験区分です。

④産業機械製造業分野鋳造、鍛造、工場板金、めっき、仕上げ、機械検査、機械保全、工業包装、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工 18試験区分です。

⑤電気・電子情報関連産業分野機械加工、金属プレス加工、工場板金、めっき、仕上げ、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工場包装 13試験区分です。

⑥建設型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、鉄筋継手内装仕上げ・表装、とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工 18試験区分
土木建築ライフライン・設備 3試験区分に改正(令和4年8月30日)

⑦造船・舶用工業分野溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立て 6試験区分です。

⑧自動車整備分野自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備 1試験区分です。

⑨航空分野空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物、貨物取扱業務)航空機整備(機体、装備品等の整備業務等) 2試験区分です。

⑩宿泊分野フロント・企画・広報・接客・レストランサービス等のサービスの提供 1試験区分です。

⑪農業分野耕種農業全般(栽培管理、農作物集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等) 2試験区分です。

⑫漁業分野漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵安全衛生の確保等)、養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・収穫・処理、安全衛生の確保)2試験区分です。

⑬飲食料品製造業分野飲食料品製造業全般(酒類を除く飲食料品の製造・加工、
安全
衛生) 1試験区分です。

⑭外食業分野外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)1試験区分です。

(3)受入れ機関に関する要件について
  受入れ機関とは、特定技能外国人を労働者として受け入れる企業等のことを言います。この受入れ機関には株式会社等の会社のほか、個人事業主も含まれます。

1. 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること 
 労働関係法令については、労働基準法等の基準に則って特定技能雇用契約が締結されていることや、労働保険の適用手続及び保険料の納付を適切に行っていること、特定技能外国人との雇用契約にあたり、無許可のブローカー等のあっせんでないことをいいます。社会保険関係については、適用事業所の場合、社会保険の適用手続及び従業員の被保険者資格取得手続を行っており、所定の保険料を適切に納付していることをいいます。租税関係については、国税及び地方税を適切に納付していることをいいます。

2. 1年以内に特定技能外国人が行う業務と同種の業務に従事していた労働者を離職
非自発的離職させていないこと
(自発的な離職や懲戒解雇、定年退職などは除く)ここでいう「労働者」には、外国人労働者はもちろん、日本人労働者も含まれます。ただし、パートタイムやアルバイトの従業員は含まれません。また「同種の業務」が要件ですので、受け入れる業務とは異なる業務に就いていた労働者も対象とはなりません。また「非自発的離職」には、普通解雇だけでなく、希望退職の募集や退職勧奨なども含まれます。さらに賃金の低下等、労働条件にかかる重大な問題により労働者が離職した場合などもこれにあたります。
有期労働契約の場合は、期間満了時に労働者が更新を希望しなかった場合は対象外ですが、正当な理由なく使用者側が更新を拒絶した場合は、非自発的離職となります。以上の基準での非自発的離職者を1名でも発生していれば、この基準に適合しないことになります。また、特定技能雇用契約の締結日より前の1年以内だけでなく、締結日以降に非自発的離職が発生した場合も、この基準に不適合となります。

3. 1年以内に受入れ機関の責任による行方不明者を発生させていないこと
 技能実習制度では、いわゆる「失踪者」の発生が問題となっています。この失踪の原因が受入企業の法令違反等が問題であった場合は、「実習実施者(受入企業)の責めによるべき失踪」として厳しく扱われることになっており、特定技能の制度においても同様に「所属機関の責めに帰すべき事由」により外国人の行方不明者を発生させている場合は、受入体制が不十分とみなされます。ここで対象となる外国人には、特定技能外国人はもちろん、技能実習生も含まれています。一方で、永住者や日本人の配偶者、技術・人文知識・国際業務等の中長期在留者は含まれていません。

4. 欠格事由に該当しないこと 
 一定の刑罰を受けていないことや、技能実習制度における認定取消を受けていないことが求められます。

5. 5年以内に出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を行っていないこと
 4の欠格事由に該当しないことと関連しますが、一定の刑罰を受けた事業者はその執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年間は、特定技能所属機関となることはできません。また、技能実習制度において技能実習計画の認定を取り消された事業者は、技能実習生の受入れが継続できなくなるのはもちろん、同じく特定技能での受入れも認められません。

6. 特定技能外国人の活動状況に関する文書を作成し、事業所に備えおくこと。
 特定技能外国人を受入れ後、年4回四半期ごとに入国管理局に対し、計画通りに支援を実施しているかの届出を行う必要がありますので、日々の活動状況をを記録しておく必要があります。

7. 支援費用を特定技能外国人に負担させないこと
 特定技能外国人に対する支援に要する費用は、所属機関等が負担すべきものであり、特定技能外国人に直接または間接的にも負担させることはできません。支援に要する費用とは、例えば、出入国時の送迎に要する交通費や事前ガイダンスや面談実施時における通訳に対する費用等があてはまります。

8. 労災保険に関する手続きを適切におこなっていること
 1の各種法令の遵守と重複しますが、特定技能外国人が業務中にケガ等を負った場合に、所属機関が責任をもって対応できるよう、労災保険の手続きは確実におこなっていることが要求されています。

9. 雇用契約を確実に履行できる財産基盤を有していること
 所属機関には、特定技能雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていることが要求されています。このため、直近2年分の決算書類や法人税の確定申告書を提出して、一定の財産的基盤を有していることを証明する必要があります。このため、直近の決算において債務超過の状態になっている場合は、改善の見通しについて評価を行った書面の提出が必要になります。

10. 報酬の支払いを預金口座への振込み又は現金支払いの場合は支払いを裏付ける客観的な資料を提出できること
報酬の支払いに関しては、外国人の同意を得て原則、預金口座への振込みにより行うこととされており、四半期ごとに行う特定技能外国人の活動状況に関する届出の際に、口座振込明細書等の写しを添付する必要があります。仮に現金支払いの場合は、支払いを裏付ける資料(外国人が受け取る際の領収書の写し等)の提出が必要になります。

11. 外国人を支援する体制があること(登録支援機関に全部委託する場合は不要
 特定技能外国人の受入れと支援を適切に実施する能力の基準として、以下の①~③のいずれかを満たす必要があります。なお、登録支援機関に支援を委託する場合は、この基準を満たすものとみなされます

①過去2年間に中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績に加え、支援責任者と支援担当者を選任している
ここでいう中長期在留者とは、留学生アルバイトや「永住者」等の身分系ビザをもった外国人の雇用経験は含まれず、「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザをもつ外国人を雇用した経験が必要になります。支援責任者は、支援計画の実施に関する責任者となりますが、中小企業の社長や役員等は支援責任者にはなれないのが通常です。支援担当者は実際に支援を担当する者であることから、常勤役職員であることが必要です。さらに事業所ごとの選任が求められていますので、二つの工場に外国人を受け入れるのであれば、2名の支援担当者が必要になります。なお、支援責任者と支援担当者はそれぞれの基準を満たしていれば、兼任することは可能です。

②支援責任者および支援担当者として、過去2年間に中長期在留者の生活相談業務を経験した者を選任している。
所属機関自体に実績はなかったとしても、経験者を支援責任者及び支援担当者とすることによって、受入れ実績等の基準を満たせるパターンです。中長期在留者に対する生活相談には法律相談や労働相談も含まれますが、業務として従事した実績が求められることから、ボランティアとしての経験は含まれません

③上記の(1)及び(2)に該当する者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として、出入国在留管理庁長官が認める者
外国人の受入れ実績がなくても、日本人労働者を適正かつ適切に雇用してきた実績があれば、外国人に対しても責任をもって適切に支援を実施することが見込まれるという前提です。ただし、運用要領には上場企業や独立行政法人、そして前年分の給与所得の源泉徴収額が1500万円以上の企業が挙げられており、要するに就労ビザの審査の際、所属機関の区分において、カテゴリー1か、カテゴリー2に該当する事業者と同意義だと考えられます。

12. 産業分野ごとに定める基準に適合していること 
 在留資格該当性における(1)と重複する箇所もありますが、各分野における概要を記載します。

➀介護分野
 まず、受入れ人数に上限があります。「1号特定技能外国人の人数枠が受入事業所における常勤の介護職員の総数を超えないこと」常勤の介護職員には、日本人労働者の他、以下の外国人も含まれます。
・在留資格「介護」により就労する者(介護福祉士取得者)
・「永住者」や「日本人の配偶者」等の身分系の在留資格で就労する者
・EPA(インドネシア・フィリピン・ベトナム)経済連携協定の一環として在日中に、介護福祉士国家試験に合格して就労する者

以上より、技能実習生やEPA介護福祉士候補者、留学生は、常勤の介護職員には含まれません。受入事業所が介護福祉士国家試験の受験資格を満たすために必要な実務経験を積める事業所であることも必要です。なお、訪問介護等の訪問サービスは対象外になっています。そして、1号特定技能外国人になるには、評価試験等の合格と技能実習2号の終了の他に、「介護福祉士養成施設終了」や「EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年)」があります。介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」に移行できる基準が満たせますが、合格できなかった場合でも、1号特定技能外国人として就労できる可能性があります。

②ビルクリーニング分野
 この分野固有の基準として、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2第1項第1号又は第8号に掲げる事業の登録を受けた営業所」が設けられています。この登録は建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者において、一定の基準を満たしている場合に都道府県知事から受けられるものです。この登録を受けなくても、ビルクリーニング業を行うことについては問題ありません。しかし、特定技能外国人を受け入れるのであれば、第1号建築物清掃業第8号建築物環境衛生総合管理業」の登録が必要になります。

③素形材産業分野/ ④産業機械製造業分野/⑤電気・電子情報関連産業分野〕 
 この製造業3分野については、それぞれ日本標準産業分類の業種であることが求められ、その詳細は多岐にわたりますので、出入国在留管理庁ホームページの運用要領にて確認が必要になります。

⑥建設分野
 建設分野については、1に続き2号も設けられています。この分野には、独自に下記のようにそれぞれの認定基準が設けられています。

1⃣「相当程度の知識又は経験を要する業務1」「熟練した技能を要する業務2
 1号特定技能外国人には、3級技能士レベルの技能者が担当するような業務に従事する必要があります。しかし、作業の準備や後片付け等の付帯作業が必ずでてきます。そのような同じ職場で日本人もおこなっている業務については、同様に担当してもらうことは可能ですが、付帯作業ばかりを行わせることはできず、あくまでも主に担当してもらうのは専門的な業務となります。
2号特定技能外国人については、1級技能士レベルに加えて、複数の建設技能者を指導しながら作業に従事しつつ、工程を管理した経験が求められます。2号になると、通算在留期間の上限は撤廃され、支援計画による支援の必要は無くなります。

2⃣ 建設特定技能受入計画の認定を受けている(国土交通省)
 他の産業分野にも共通して必要な「1号特定技能外国人支援計画」を作成するのに加えて、「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通大臣に認定を受ける必要があります。この受入計画の認定基準は、大きく四つに分かれます。
ⅰ. 認定申請者(特定技能所属機関)に関する事項
     受入企業は、建設業許可を受けていること
     建設キャリアアップシステムに事業者として登録していること。
   (一社)建設技能人材機構(JAC)の構成員であること。     
             以上の詳細は後述します。
ⅱ. 国内人材確保の取組に関する事項 詳細は後述します。

ⅲ. 1号特定技能外国人の適正な就労環境の確保に関する事項 詳細は後述します。

ⅳ. 1号特定技能外国人の安全衛生教育及び技能の習得に関する事項
                                                                                   詳細は後述します。

これらの基準を満たした受入計画作成し、国土交通大臣の認定を受ける必要があります。そして受入後も、認定された基準が適正に実施されているかどうかを、国土交通省等から随時チェックがはいります。

3⃣建設業許可を受けている 
 税込500万円以上の建設工事を請け負うためには、その工事に該当する業種について、建設業許可を受けていなければなりません。逆にいうと、請負代金が500万円未満の軽微な建設工事であれば、許可を受けなくても請け負うことが可能です。ただし、特定技能外国人の受入れるには、この建設業許可を受けていることが要件となっています。建設業許可を受けるには、財務面も含めた経営の安定性と技術力、そして法令遵守について一定の水準を満たすことが要求されていますので、特定技能外国人を受け入れるにあたっても、これらの基準が求められているので、建設業許可取得がその目安とされていると思われます。

4⃣建設キャリアアップシステム(CCUSに登録している 
 このCCUSには、受け入れる外国人を技能者として登録するのと、受入企業自体も事業者として登録する必要があります。CCUSには、建設技能者の氏名等の基本的な情報はもちろん、保有資格や実務経験等も登録されます。そして、技能者にはカードが発行され、現場入所時にそれをリーダーに読み込ませることによって、日々の就業が蓄積されていきます。一定の資格や実務経験に応じてカードの色が4段階に分かれるため、技能者のレベルが「見える化」される仕組みになっています。国交省が全国共通で推進しているシステムですので、担当する現場だけでなく、転職して所属企業や現場が変わった場合でも記録は蓄積されていきます。ですので職人として積み上げてきた技能者の能力を、客観的かつ統一的に評価することが可能となり、しいては公正な待遇につながります。これによって日本人と同じ客観的な基準で評価することが可能となり、受入要件である日本人と同等以上の待遇を実現するためにも重要であるといえます。また、カードには在留資格の情報も登録されますので、建設現場における不法就労の防止にもつながり、その状況が安定すれば、失踪の抑制にも繋がるものと期待されています。

5⃣一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の構成員になっている
 建設業には様々な種類の専門工事業者が存在しており、その多くが業種別の団体を作っています。その業種別の団体が共同で建設技能人材機構(JAC)を設立し、国土交通大臣から「特定技能外国人受入事業実施法人」の登録を受けました。このような事情から、受入企業はJACの構成員であることが求められます。JACの正会員となっている業種別団体に所属することで要件は満たせますが、そうでない場合は個別に賛助会員となることも可能です。なお、建設分野においてはJACが協議会(特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会)の構成員となっていますので、受入企業が協議会の構成員となる必要はありません。費用については、受け入れる特定技能外国人の人数に応じて、受入企業が受入負担金を支払う仕組みになっています。

6⃣国内人材確保の措置を行っている
 特定技能はその前提として、「生産性向上や国内人材確保の取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にある」分野について、外国人を受け入れる制度です。したがって、特定技能外国人を受け入れる前に、国内人材の確保に向けて努力しているかどうかを確認されます。まず、適切な労働条件を提示して求人活動を行っているかどうか、受入計画の申請をする際に直近1年以内にハローワークに申請した求人申込書等が確認されることになります。さらに、日本人技能者の定着状況も重要なポイントとなりますので、既存の職員に対する処遇が適切かどうかも確認されます。

7⃣報酬やその他就労環境も適切であること
 報酬額については、技能実習2号の実習生を上回るのはもちろん、同レベルの日本人技能者と比べても遜色のないものに設定する必要があります。比較対象である日本人が職場にいない場合には、賃金規程やそれを含む就業規則に基づいて、3年程度経験を有する技能者の報酬額と比較していくことになります。建設業では日給制(いわゆる日給月給)を採用する企業も多く見られますが、業務の繁閑や天候等の影響により報酬額が変動してしまうことが労働者の不満に繋がっている現状があります。ですので、特定技能外国人の意欲低下や失踪を防ぐためにも、月給制で報酬を安定的に支払っていく必要があります。また、1号特定技能外国人の在留期間は通算で5年が上限となっていますので、この間の昇給見込額について、特定技能雇用契約や建設特定技能受入計画に盛り込む必要もあります。
1号特定技能外国人に対しては、他の産業分野においても「事前ガイダンス」を実施する必要があります。建設分野においては、これに加えて国交省が告示で定めた「様式第2(雇用契約に係る重要事項事前説明書)」を用いて、およその手取り額や昇給の条件、そして危険有害業務に従事する可能性やそれに伴う安全衛生教育の実施内容、さらには技能検定の受験時期などについて説明する必要があります。また、受入計画に記載された情報について、必要最小限の範囲で建設キャリアアップシステムの運営機関や適正就労監理機関(FITS)、そして一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の関係団体に提供することも説明し、本人の同意を得て、署名をもらう必要があります。そして常勤雇用者の上限ですが、1号特定技能外国人等他の外国人建設就労者も含む)は、常勤職員数と同じ人数までしか受け入れることができません。ここでいう常勤職員数は、1号特定技能外国人と外国人建設就労者、そして技能実習生の人数を含めないで計算します。

8⃣安全衛生教育や技能習得に関する教育を行う
 労働災害の発生率が高い建設業においては、その防止に向けて、まずは安全かつ衛生な職場環境を整備することが重要で、かつ、労働者が危険有害性に関する知識や対応能力を身に付ける必要があります。このため、特定技能外国人に対しても、従事させる業務に必要な安全衛生教育を実施することが求められます。さらに、1号で在留できる上限5年を考慮して、具体的な技能習得の計画を立てなければなりません。例えば、受入れ時点で技能検定3級レベルである特定技能外国人に対しては、3年以内に2級合格、5年以内に1級合格を目指す、といった目標を設定していくことになります。

⑦造船・舶用工業分野
 造船・舶用工業分野についても、1号に続き2号も設けられています。この分野固有の基準として、所属機関が当該分野に係る事業を営む者であることについて、国交省の確認を受けなければなりません。その際、造船業の届出や小型船造船業の登録等が必要になります。

⑧自動車整備分野
 この分野固有の基準として、「道路運送車両法第78条第1項に基づき地方運輸局長から認証を受けた事業場を有すること」があります。つまり、「認証工場でなければ特定技能外国人の受入れができません。ちなみに、一般に「民間車検場」と呼ばれる「指定工場であることまでは必要とされていません。また、自動車整備分野については登録支援機関にも固有の基準があります。具体的には、支援責任者や支援担当者、その他外国人の支援を行う者として、「自動車整備士1級又は2級の資格を有する者」又は「自動車整備士の養成施設における指導の実務経験が5年以上である者」のいずれかに該当する者が担当する必要があります。

⑨航空分野
 この分野固有の基準として、告示に列挙されている通り、一定の承認等を受けた空港グランドハンドリング業者か、国土交通大臣による認定を受けた航空機整備業者(もしくはそこから委託を受けた者)であることが必要になります。

⑩宿泊分野
 この分野固有の基準として、「旅館業法第3条第1項の旅館・ホテル営業の許可を受けていること」があります。同じく旅館業法に定められた「簡易宿所営業と下宿営業」は対象外となっており、風営法第2条第6項第4号に規定する施設(ラブホテル)での就労は一切認められません。

⑪農業分野
 農業分野においては、派遣形態での受入れが可能になっています。労働者派遣ではなく、直接雇用で受け入れる場合、受入れ企業は過去5年以内に労働者(技能実習生を含む)を6ヶ月以上継続して雇用した経験が必要になります。また、農業は天候等の自然条件によって労働環境が左右されることから、労働基準法のうち「労働時間・休憩・休日」に関する規定が適用されません。ただし、特定技能外国人に対しては、過重な長時間労働とならないよう、適切な労働時間の管理や休憩、休暇の設定が求められています。

⑫漁業分野
 漁業分野においても、派遣形態での受入れが可能になっています。農業分野と同様、労働基準法のうち「労働時間・休憩・休日」に関する規定が適用除外がありますが、やはり過重な長時間労働とならないよう、適切な労働時間管理や休憩・休暇の設定が求められます。

⑬飲食料品製造業分野
 飲食料品製造業分野は、製造業の中でも、事業者数と従業者数が最も多い分野です。2018年には、食品衛生法の改正によって20206月までに全ての飲食料品製造業者に、HACCP(ハザップ:食品事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全行程の中で、それらの危険要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全を確保しようとする衛生管理手法)に沿った衛生管理の制度化へ対応することが求められています。このような背景からも、十分な人材の確保の必要性が強調されています。事業者については、食品衛生法等に基づく営業許可が必要な業種での受入れが原則なっています。特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会への加入の際、保健所長による営業許可証の写し等を求められます。

⑭外食業分野
 外食業分野は、全産業と比べて欠員率が2倍以上の水準であり、極めて離職率の高い人材不足の分野です。また、衛生管理に関する知識・技能については、飲食料品製造業分野と同様に、「HACCP」を含む食品衛生管理について正しい知識を身に付けていて、製品の安全性を確保しようとする衛生管理が適切に行われていることも要求されています。そして事業者については同様に食品衛生法等に基づく営業許可が必要な業種での受入れとなります。また、風営法第2条第3項に規定する接待飲食等営業を行う店舗(キャバクラ等)においての就労はできません。

13. 派遣形態の場合、定められた基準に適合していること(農業分野/漁業分野)
  以下各々、派遣形態による受入れが可能な基準としていわれているのは、
1⃣農業分野の場合    
ⅰ. 冬場は天候等により農作業ができない場合や季節による作業の繁閑が生じる場合ⅱ. 同地域や地区内であっても、作目によっては収穫時期や定植等の農作業の繁忙期、ピーク時が異なるといった特性があり、農繁期で労働力の確保や複数の産地間での労働力の融通といった農業現場のニーズに対応する必要性がある場合

2⃣漁業分野の場合  
ⅰ. 同地域であっても、対象魚種や漁法等によって繁忙期・閑散期の時期が異なるとともに、漁業経営体の多くが零細で半島地域や離島地域などに存在していること等の特性があり、地域内における業務の繁閑を踏まえた労働力の融通、雇用、支援の一元化といった漁業現場のニーズに対応する必要性がある場合
ⅱ. 派遣事業者については、その担当者が、地方公共団体又は漁業協同組合、漁業生産組合若しくは漁業協同組合連合会その他漁業に関連する業務を行っている者が関与する必要がある

(4)雇用に関する契約に関する要件について

1. 労働関連法令の規定に適合していること
 所属機関には、労働関係法令の規定に適合・順守していることが求められますが、この適合・順守しているとは、労働基準法等の基準に則って特定技能雇用契約が締結されていることや、労働保険の適用手続及び保険料の納付を適切に行っていること、特定技能外国人との雇用契約にあたり、無許可のブローカー等からの斡旋を受けていないことを言います。
2. 特定技能で認められている業務に従事させるものであること
  (2)従事する業務に関する要件についてでも触れましたが、14業種の各産業分野ごとに特定技能外国人が従事することができる業務はそれぞれで詳細に規定されています。ただ、製造業3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)や建設業分野等は、技能水準を確認する試験区分と行える業務が細かく分かれていますが、介護、ビルクリーニング、宿泊、飲食料品製造業、外食業等は、試験区分が一つであるので、外国人からすると、後者のグループのほうが就職がしやすく活動しやすいと考えられているようです。

3. 所定労働時間が、通常の労働者の所定労働時間と同等であること
 特定技能外国人は、フルタイムでの業務に従事することが想定されていますので、比較対象となる「通常の労働者」とは、パートタイマーやアルバイト従業員のことではなく、フルタイムの一般の労働者のことを指します。特定技能制度におけるフルタイムとは原則、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいいます。比較対象となるフルタイム社員に適用される就業規則において規定されている所定労働時間が例えば週40時間であれば、特定技能外国人の所定労働時間も40時間ということになります。労働時間については、雇用条件書への記載が必須になっています。

4. 報酬額が、日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であること
 この規定は技術・人文知識・国際業務等、就労ビザ全般において、各々で必ず謳われている規定です。特定技能においても、同等程度の技能等を有する者であれば、日本人であろうが外国人であろうが、国籍に関係なく同水準の報酬を支払う必要があります。ここでいう「報酬」とは「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」をいい、一般的に通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものは除く)は含まれません。比較対象になる日本人の勤続年数の目安ですが、例えば技能実習からの移行組である場合、技能実習2号修了者であればおおむね3年間、3号修了者であればおおむね5年間、日本に在留し技能実習を終了した者であることから、従事しようとする業務についてもおおむね3年又は5年の経験者とみなし、それと同程度の勤続年数である日本人の給与額と同等以上であることが求められています。比較となる日本人がいない場合には、賃金規程等から判断することになります。

5. 外国人であることを理由に差別的な取扱いをしていないこと
 賃金面だけではなく、日々の業務においても例えば、手が汚れる作業等を外国人に押し付けたり、作業現場の準備や後片付け等を外国人だけに押し付けたり、いわゆる「イジメ」に値する言動がないかどうかを支援責任者や支援担当者は日々監視することも必要といわれています。それともちろん、賃金に関することは、上記4で記載されているように外国人であることを理由に不当に低く設定されることは許されないことは言うまでもありません。
6. 一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させるものとしていること
 労働基準法第39条1項に「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」という年次有給休暇の規定がありますが、特定技能所属機関においては、上記の通常の有給休暇だけにとどまらず、特定技能外国人から一時帰国の申し出があった場合は、必要な有給又は無給休暇を取得させることを「雇用条件書」で定める必要があります。

7. 派遣をする場合は、派遣企業名、住所、派遣期間を定めていること農業と漁業
  (3) の13.派遣形態の場合、定められた基準に適合していること、どの記載と概ね重複しますが、農業と漁業において派遣形態である場合、当然ですが雇用主は派遣企業になるので、その企業名や所在地・連絡先・担当者等は常に把握していなければなりません。それと派遣期間についても、期限が迫った時は更新するしない等を派遣企業と打合せする必要があります。

8. 帰国担保措置を講じていること
 例えば、10日の有給休暇を全て使ってしまった外国人から、一時帰国のための休暇を取得したいとの申し出があった場合、追加的な有給休暇の取得や無給休暇を取得することができるよう配慮しなければならないのです。そして、帰国担保措置とは違いますが、特定技能外国人の家族が短期滞在で来日した場合は、家族と過ごす時間を確保するため、有給休暇を取得することができるよう配慮しなければならないともされています。

9. 健康状況その他の生活状況の把握のための措置を講じていること
 労働安全衛生法第66条1項に「事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」という規定があります。いわゆる一般健康診断を雇入時及び毎年1回以上行う必要があります。日本で就労活動を行う外国人に対しても当然に適用されます。また、特定技能外国人に対しては、生活状況の把握のための措置として、緊急連絡網を整備したり、定期的な面談において日常生活に困っていないか、トラブル等に巻き込まれていないかなどを確認したりすることも、特定技能所属機関には求められています。

10. 産業分野毎に定めている基準に適合していること
  (3)12.産業分野ごとに定める基準に適合していること、に各産業分野ごとに詳細に記載しましたが、これは政府が策定した「基本方針」に基づいていて、出入国在留管理庁が「運用要領」にまとめています。さらに、各産業分野を所管する行政機関の長などによって「分野別運用方針」が策定され、その内容が「分野別運用要領」にまとめられています。

(5)支援計画に関する要件について(1号のみ)
 受入れ機関は、特定技能外国人を受け入れる場合、職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援計画を作成しなければなりません。登録支援機関に支援の全部を委託した場合も、この支援計画は受入れ機関が主体となって作成する義務があります。
もっとも、登録支援機関に手伝ってもらうことは排除されていません。要するに「丸投げ」はダメだ、ということです。

1. 外国人に対する入国前の事前ガイダンスの提供
 事前ガイダンスは、対面かテレビ電話等を用いて行うことになりますが、1号特定技能外国人の日本語レベルがN4程度ですから、やはり母国語での説明が不可欠になります。日本人支援担当者が日本語のみで事前ガイダンスを行う場合には、通訳等の同席が必要になります。「事前」ガイダンスですから、少なくとも特定技能雇用契約の締結時以後、入国管理局への在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請前に実施することとなります。申請時には、事前ガイダンス確認書に特定技能外国人の署名をもらって提出する必要があります。事前ガイダンスでは、以下の9項目の情報提供が必要になります。

ⅰ. 従事する業務の内容、報酬の額その他の労働条件に関する事項
ⅱ. 日本において行うことができる活動の内容
ⅲ. 入国にあたっての手続きに関する事項
ⅳ. 保証金の徴収や違約金を定める契約の締結をしておらず、かつ、締結させないことが見込まれること
ⅴ. 自国等の機関に費用を支払っている場合は、その額及び内訳を十分理解して、当該機関との間で合意している必要があること
ⅵ. 支援に要する費用について、直接又は間接に負担させないこととしていること
ⅶ. 入国する港又は飛行場において、送迎を行うこと
ⅷ. 住居の確保にかかる支援がされること
ⅸ. 職業生活、日常生活又は社会生活に関する相談又は苦情の申し出を受ける体制があること

2. 入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
 1号特定技能外国人に対する支援内容の一つとして、「当該外国人が出入国しようとする港又は飛行場において、当該外国人の送迎をすること」があります。ここでいう「送迎」とは文字通り、外国人が入国する際のお迎えと外国人が出国する際のお見送りです。出国時については、空港へただ送り届けるだけでなく、外国人が保安検査場に入場するのを見届ける必要があります。この空港等への送迎は受入れ機関が義務として実施しなければならないことから、送迎時に必要な交通費については、受入機関が負担することになっています。

3. 適切な住居の確保に係る支援
 住居についての支援には、「当該外国人が締結する賃貸借契約に基づく当該外国人の債務についての保証人となること、その他の当該外国人のための適切な住居の確保に係る支援」があります。保証人になれる適当な者がいない場合、賃貸保証会社を利用することも可能ですが、この場合、賃貸保証会社に必要な手数料については、受入機関の負担になります。あと必要に応じて住居探しの補助も行わなければなりません。受入機関が所有する社宅等を提供することも可能です。ここでいう支援は、受入機関が住居費用を負担することまでは求められていません。したがって、当該外国人が滞納した家賃を受入機関が立て替え払いを行った場合などは、立て替えた家賃分を当該外国人に請求しても問題ありません。

4. 生活に必要な契約に係る支援銀行口座、携帯電話、その他ライフライン全般
 受入機関は、1号特定技能外国人の銀行等における預金口座開設、携帯電話の利用に関する契約その他生活に必要な契約(電気・ガス・水道等)に係る支援を行う必要があります。当該外国人がこれらの契約を適正に行うことができるよう、受入機関は外国人が契約手続を行う際に必要な書類や窓口を案内するとともに、日本語のコミュニケーション能力不足により契約が阻害されないよう必要に応じて当該外国人に同行して各種手続きの補助を行う必要があります。

5. 在留中の日常生活に必要な情報提供生活オリエンテーション
 受入機関は、1号特定技能外国人が日本に入国した後(当該外国人がすでに日本に在留している者である場合は、在留資格の変更を受けた後)以下に掲げる事項に関する提供を実施する必要があります。
ⅰ. 日本での生活一般に関する事項
ⅱ. 当該外国人が履行しなければならない又は履行すべき国又は地方公共団体の機関に対する届出その他の手続き
ⅲ. 相談又は苦情の申し出に対応することとされている者の連絡先及びこれらの相談又は苦情の申し出をすべき国又は地方公共団体の機関の連絡先
ⅳ. 当該外国人が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関に関する事項
ⅴ. 防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項
ⅵ. 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他当該外国人の法的保護に必要な事項

6. 行政機関への届出等への同行等
  4.生活に必要な契約に係る支援(銀行口座、携帯電話、その他ライフライン全般)でも述べましたが、各契約手続きへの同行や5の内容である、住居地に関する届出・国民健康保険・国民年金に関する手続き及び年金の脱退一時金請求の手続き・納税に関する手続き等については、必要に応じて関係機関への同行を必要とし、当該外国人が日本で生活を送る上で困らないよう適切な情報提供を行うつつ、同行支援等が必要であるということです。

7. 生活に必要な日本語学習の機会提供
  1号特定技能外国人は、既に入国の段階で一定の日本語能力水準をクリアしていますが、日本で働く外国人にとって、日本語のスキルアップは、日本社会の一員として円滑に在留するためには非常に重要です。なので、1号特定技能外国人が日本語による円滑なコミュニケーションが可能となるよう適切な支援を行う必要があります。ただし、ここでいう支援とは必ずしも日本語教育機関や私塾に通学させなければならないというものではありません。例えば、日本語教室等の入学案内や日本語学習教材の情報提供等を行うことも、ここでいう日本語学習機会の提供にあたります。

8. 外国人からの相談・苦情への対応
   5の内容である、相談又は苦情の申し出に対応することとされている者の連絡先及びこれらの相談又は苦情の申し出をすべき国又は地方公共団体の機関の連絡先を当該外国人へ確実に伝えるとともに、特に受入機関の担当者や登録支援機関の担当者は、当該外国人からの申し出に対し、親身になって、場合によっては通訳をつけて話しを聴き、そしてアドバイスや助言を行うことが義務とされています。

9. 日本人との交流の促進に係る支援
  この交流促進支援については、法務省が公表している「1号特定技能外国人支援計画書」の記載例には、支援内容欄に以下の2点が記載されています。
ⅰ. 必要に応じ、地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場関する情報の提供や地域の自治会等の案内を行い、各行事等への参加の手続きの補助を行うほか、必要に応じて同行して各行事の注意事項や実施方法を説明するなどの補助を行う。
ⅱ. 日本の文化を理解するために必要な情報として、就労又は生活する地域の行事に関する案内を行うほか、必要に応じて同行し現地で説明するなどの補助を行う。特定技能外国人への支援においては、自らイベントを企画・実施することまでは求められていません。地域の行事やボランティア活動を探して、申込みの手伝いや同行等の支援をしてあげることが必要です。

10. 特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援
   1号特定技能外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合(非自発的離職)、当該外国人が特定技能の活動を引き続き行うことができるよう転職支援を行う必要があります。非自発的離職とは、例えば、会社が倒産する場合や会社の経営不振による人員整理などが考えられます。以下に転職支援の具体例を列挙します。
ⅰ. 所属する業界団体や関連企業を通じて、次の受入先に関する情報を入手し提供する。ⅱ. ハローワーク等を案内し、又は場合によっては同行し次の受入先を探す補助を行う。ⅲ.当該外国人が円滑に就職活動を行えるよう推薦状を作成する。
ⅳ. 職業紹介許可事業者の場合、就職先の紹介の斡旋を行う。
ⅴ. 当該外国人が求職活動をするために必要な有給休暇を付与する。
ⅵ. 離職時に必要な行政手続について情報を提供する。
ⅶ. 倒産等により、転職支援が適切に実施できないことが見込まれる場合などは、

 それに備え当該機関に代わって支援を行うことができる者・機関を確保する。

11. 定期的(3ヶ月に1回以上)な面談と行政機関への通報について
 特定技能外国人が安定的かつ継続的な在留活動を確保するための支援として、最低3ヶ月に1回以上の頻度で、支援責任者又は支援担当者が特定技能外国人及びその外国人を監督する立場にある者と定期的に面談を実施する必要があります。監督する立場にある者とは、特定技能外国人と同部署の職員であり、当該外国人に対して指揮命令権を有する者のことを言います。「面談」ですから原則は対面ですが、昨今の新型コロナウイルスへの対策として、事態が収束するまでの間は対面によらず、テレビ電話等の方法でも差し支えないとする対応がとられています。

〔基準適合性について〕

次は特定技能外国人の上陸基準適合性をご説明します。
(1)外国人に関する基準
(2)申請人等が負担する保証金や違約金等に関する基準
(3)費用負担に関する基準
(4)送り出し国での手続きに関する基準
ここでは特定技能外国人個人に関する基準(年齢や技能試験、日本語試験を受ける必要があるか否か等)を中心に定められている法令が主になります。

では、以下で各項目についてご説明します。

(1)外国人に関する基準について
1. 18歳以上であること
 特定技能で受け入れる外国人は、18歳以上であることが求められます。ただし、本国から認定申請で呼び寄せる場合は、上陸の時点で18歳以上であれば問題ありません。

2. 健康状態が良好であること
 安定的かつ継続的に就労活動を行うことにおいて、健康面で問題が無い必要があります。そのことの確認は、参考様式がある健康診断個人票になります。この場合も、本国から認定申請で呼び寄せる場合に、本国であらかじめ医師の診断を受ける必要がありますが、国によってそれぞれ一般的な健康診断項目というのは異なりますので、外国人任せにしてしまうと特定技能の在留資格諸申請で必要な検診項目が抜け落ちている場合があります。ですので、母国語で記載された健康診断個人票を事前に当該外国人へ送付し、必要な検診項目を全て受診してもらうような配慮が必要です。

3. 特定技能で必要とされる技能を有していることが試験その他の評価方法により証明されていること及び生活に必要な日本語能力及び業務に必要な日本語能力を有していること
1号特定技能外国人になるためには、「技能実習2号を良好に終了している」か、「技能試験・日本語能力試験」に合格する必要があります。以下に、それぞれについてご説明します。

ⅰ. 技能実習2号を良好に終了している
  国内で技能実習2号を終了して、関連する職種の特定技能に移行する方法です。「良好に終了」しているかどうかは、技能検定3級の実技試験に合格していることが基準になります。仮に、3級の実技試験に合格していなくても、実習先の事業者が発行した「技能実習生に関する評価調書」を提出できれば、要件を満たせる可能性がありますが、「病気等のやむを得ない事情により受検できなかった」などの理由説明が必要になります。  

ⅱ. 技能水準を満たす試験・日本語能力水準を満たす試験に合格している
  1号特定技能外国人は、特定産業分野において即戦力となることが期待されているため、一定水準以上の技能を有する人材しか受け入れることができません。この水準は、「3級相当の技能試験等の合格水準」と同程度とされています。試験は、国外又は国内で実施され、国外では分野ごとに準備が整った国から実施している状況です。技能試験は原則として学科試験と実技試験によって行われます。ただし分野によってはどちらか一方のみとされており、例えばビルクリーニング分野の試験では、実技試験の中に「写真・イラストを用いた判断試験」が入っており、これによって知識の程度も測れることから学科試験は実施されません。学科試験の方法としては、一般的な筆記試験だけでなく、パソコン上で出題と解答を実施する「コンピューター・ベースト・テスティング(CBT)方式」などが採用されています。また、出題形式には、正誤問題や三択問題などがあります。日本語能力水準については、従来からの「日本語能力試験」か、新設された「国際交流基金日本語基礎テスト」において、基準に達する必要があります。日本語能力試験(JLPT)については、現在日本の他、世界のおよそ90ヵ国の国において実施されています。試験はマークシート方式で行われ、言語知識(文字・語彙・文法)、読解、リスニングの能力を測定されます。この試験で1号特定技能の要件を満たすには、5段階で下から2段目の「N4」の合格する必要があり、その目安は「基本的な日本語を理解することができる」となっています。2019年度から実施されている、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)については、現在国外で実施又は実施予定の国は、インドネシア・カンボジア・フィリピン・ネパールとなっています。この試験の受験者のほとんどは特定技能外国人として日本での就労を目指す人々であると推測されおり、コンピューター・ベースト・テスティング(CBT)方式により行われ、文字と語彙、会話と表現、リスニング、読解の能力が測定されます。この試験において1号特定技能の要件を満たすには、6段階で下から2番目の「A2」に合格する必要があり、レベルの目安は「ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、近所、仕事など直接関係がある領域に関するよく使われる文や表現が理解できる」、「簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる」、「自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる」の3点があげられています。
また、介護分野においては、上記の日本語能力試験・国際交流基金日本語基礎テストのいずれかの合格に加えて、新設の「介護日本語評価試験」に合格する必要があります。試験は、コンピューター・ベースト・テスティング(CBT)方式により行われ、試験科目は、「介護のことば、介護の会話・声かけ、介護の文書」となっています。試験水準は「介護現場で介護業務に従事するうえで支障のない程度」なっており、技能実習「介護」においては、実習開始時点において日本語能力試験の「N4程度」が、2年目には「N3程度」が要求されていることから、技能実習2号修了者(経験3年)と同レベルの特定技能1号については、それに整合する水準になります。

4. 退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域の外国人でないこと
  特定技能で日本に呼べる外国人について、国籍は特に限定されていませんが、送出し国については、「退去強制令書の円滑な執行への協力」が要件となっています。そのため、入管法違反等で退去強制(強制送還)が生じた際に自国民の引取り義務を履行しないなど、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国や地域からの受入れは認められていません。現在、この基準によって除外される国・地域は、イラン・イスラム共和国のみとなっています。その他の国・地域からの受入れについては、特に制限はありませんが、日本政府との間で協力覚書(二国間取決め)が締結されている国については、送出し国の政府が送出機関を認定するなどの取組みがおこなわれており、今後の積極的な受入れが見込まれています。それらの国々は以下になります。
フィリピン・カンボジア・ネパール・ミャンマー・モンゴル・スリランカ・インドネシア・ベトナム・バングラデシュ・ウズベキスタン・パキスタン

5. 特定技能1号での通算在留歴が5年に達していないこと1号特定技能の場合)
  特定産業分野を問わず、在留資格「特定技能1号」で日本に在留した期間をいいます。具体的な詳細については、例えば、再入国許可による出国みなし再入国許可による出国を含むによる出国期間も通算され、労災による休業期間や育児休業及び産前産後休業等による休業期間、失業中の期間なども通算在留期間に含まれます。また、在留資格「特定技能1号」を有する者が行った在留資格更新許可申請又は在留資格変更許可申請中(転職を行うためのものに限る)の特例期間や、2019年4月の改正入管法施工時の特例措置として「特定技能1号」への移行準備のために就労活動を認める「特定活動」で在留していた期間も通算在留期間にカウントされますので、これらの期間を通算して5年に達した時点で、残余の特定技能雇用契約期間や在留期限にかかわらず、以後の在留は認められないことになります。
補足ですが、特定技能1号での在留期間が、在留資格「永住」の取得要件である在留期間に含まれるかどうかです。外国人が、在留資格「永住」を取得しようとした場合、原則として引き続き10年以上日本に在留している必要があり、かつ、この期間のうち就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが要件となります。ここでいう5年の就労資格をもっての在留期間に「特定技能1号」での在留期間は残念ながら含まれません。因みに、在留資格「技能実習」の在留期間も同様に含まれません

(2)申請人等が負担する保証金や違約金等に関する基準について
「保証金」とは、仲介業者等が受入れ企業を紹介する際に、外国人から預かるお金のことで、仮に途中で退職してしまった場合には、そのまま回収されてしまいます。「違約金」とは、受入れ企業で勤め上げることができず、途中退職した労働者から徴収するお金のことです。本人が失踪するなどして直接回収ができない場合は、その家族から徴収するケースもあります。いずれも、途中退職や失踪の防止を目的としていますが、労働者側から見ると、退職することによって失うお金があるため、不当な労働環境であっても、自由に退職することができなくなってしまいます。つまり、強制労働につながる恐れがあり、また実質的に借金を背負って日本に来ることになりますので、返済のために不法就労に手を出し、結果的に失踪者となってしまうという悪循環に陥る可能性もあります。このような理由で、特定技能制度や技能実習制度においても、保証金や違約金については厳格に禁止されています。受入れ機関においては、保証金や違約金の存在を知っていながら特定技能雇用契約を結んで特定技能外国人を受け入れた場合は欠格事由に該当しますので、契約時には必ず確認する必要があります。

(3)費用負担に関する基準について
  特定技能外国人に対する支援に要する費用は、外国人に直接又は間接的にも負担させてはいけません。ここでいう「支援に要する費用」とは、例えば、特定技能外国人の出入国時の送迎に要する交通費や事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期面談実施の際等にかかる通訳の費用など、特定技能外国人に対して行われる各種支援に必要な費用のことです。当該外国人には、事前ガイダンス等において、支援に要する費用を直接又は間接的にも負担させないことについて説明する必要があり、説明を受けた証明として、支援計画書及び事前ガイダンス確認書にサインをもらい、申請時に入管へ提出する必要があります。

(4)送り出し国での手続きについての基準
   特定技能外国人の国によっては、日本政府との間で協力覚書(二国間取決め)が締結されていることがあります。この二国間取決めの中に送出手続が定められている場合は、入国や在留資格の変更に際して、その手続きを守らなければなりません。以下、既に具体的に手続きを定めている国を記載します。

ⅰ.フィリピン
  新規入国者については、受入機関が駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)に必要書類を提出して、所定の審査を受けたうえで本国のフィリピン海外雇用庁(POEA)に登録し、本人が海外雇用許可証(OEC)の発行を受ける。基本的には、認定送出機関を通じての採用となっている。日本在留者については、同様に受入機関が駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)に必要書類を提出して、所定の審査を受けたうえで本国のフィリピン海外雇用庁(POEA)に登録し、本人が海外雇用許可証(OEC)の発行を受ける必要があるが、在留資格変更後、特定技能で在留中に再入国許可制度を利用してフィリピンに一時帰国してからPOEAで海外雇用許可証を取得してもよい

ⅱ.カンボジア
  新規入国者については、カンボジア労働職業訓練省(MoLVT)から認定を受けた送出機関を通じてのみの採用に限定されている。その登録証明書を在留資格認定証明書交付申請時に入管へ提出しなければならない。日本在留者については、直接採用は可能だがMoLVTからの証明書が必要で、これは認定された送出機関を通じて請求しなければならない。

ⅲ.インドネシア
  新規入国者については、まず受入機関には労働市場情報システム(IPKOL)への登録を推奨(自社の元実習生を再雇用する場合を除く)しており、本人は海外労働者管理サービスシステム(SISKOTKLN)に登録し、紹介を受ける。日本在留者については、本人が在留資格変更申請前に、海外労働者管理サービスシステム(SISKOTKLN)に登録する必要がある。

ⅳ.ネパール
  新規入国者については、ビザ取得後にネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門から海外労働許可証を取得する。日本在留者については、変更申請後、特定技能の在留資格で在留中に再入国許可制度を利用してネパールに一時帰国する際、同様にネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門から海外労働許可証を取得する。

ⅴ.ミャンマー
  新規入国者については、カンボジアと同様に、認定送出機関を通じてのみの採用になっており、本人は海外労働身分証明カードを取得する必要がある。日本在留者については、直接採用が可能で、別途本国の機関に届出等をする必要はない

ⅵ.タイ
  新規入国者については、送出機関を通す必要は無く、直接採用が可能になっている。ただ手続きについては、現地で雇用契約の認証を受けてから出国許可を受ける必要がある。そして来日後、在日タイ王国大使館労働担当官事務所に報告書を提出する必要がある。日本在留者については、一旦帰国して、現地で雇用契約の認証を受ける必要があり、そして入社後、在日タイ王国大使館労働担当官事務所に報告書を提出する必要がある。

〔受入れ後に行う必要がある入管法上の届出や帳簿の備付〕

   受入機関は、特定技能外国人を受け入れた後、各種変更等があった際に随時行う届出と、四半期ごとに行う定期届出があります。これらの届出を怠ると、罰金や過料の罰則規定もあるので、忘れずに届け出る必要があります。

受入機関が行う必要がある届出一覧(全て随時届出

※一覧表をスマートフォンで閲覧される場合は、横にスクロールをお願いします。

届出の種類届出事由等届出期間期限
特定技能雇用契約
に係る届出書
特定技能雇用契約について、①変更
②修了③新たな契約締結、があった場合
随時事由発生から
14日以内
支援計画変更
に係る届出書
特定技能外国人支援計画について、変更があった場合
支援委託契約
に係る届出書
支援委託契約について、①締結②変更
③終了があった場合
受入れ困難
に係る届出書
特定技能外国人の受入れが困難となった場合(行方不明、死亡等)
出入国又は労働法令に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為
(不正行為)に係る届出書
特定技能外国人について、不正行為(残業代等賃金の未払い、暴行、脅迫、旅券又は在留カードの取上げ、労働関係
法令違反等)があった場合
 

受入機関が行う必要がある届出一覧(全て定期届出

届出書の種類届出事由等届出期間期限
受入れ状況
に係る届出書
・特定技能外国人ごとに、特定技能の活 動を行った日数、場所及び従事した業務内容について届出
・支援状況に係る届出書と合わせて提出
1月~3月まで
4月~6月まで
7月~9月まで
10月~12月まで各区分
四半期ごと
翌四半期の初日から14日以内
支援実施状況
に係る届出書
・支援状況についての届出
・支援計画の全部を登録支援機関に委託した場合は不要
活動状況
に係る届出書
・特定技能外国人に対する報酬の支払い状況、離職者数、行方不明者数、社会保険の加入状況及び労働保険の適用状況について届出
 

登録支援機関が行う必要がある届出一覧(随時/定期届出)

届出書の種類届出事由等届出期間期限
登録事項変更
に係る届出書
登録申請書に記載した事項(氏名又は名称、住所、代表者氏名、支援業務を行う所在地等)に変更があった場合随時事由発生から
14日以内
支援業務の休止又は廃止
に係る届出書
・支援業務を休止し又は廃止した場合
・支援業務の一部を休止又は廃止した場合には、登録事項変更に係る届出書も合わせて提出する。
支援業務の再開
に係る届出書
支援業務の休止の届出を行った者が支援業務を再開する場合には届出が必要再開予定日の1ヶ月前まで
支援実施状況
に係る届出書
・受入機関から委託を受けた特定技能外国人支援計画の実施状況について、四半期ごとに届出
・受入機関ごとに届出が必要
1月~3月まで
4月~6月まで
7月~9月まで
10月~12月まで各区分
四半期ごと
翌四半期の初日から14日以内
 
・受入れ後の帳簿備付義務
1.活動内容に係る文書(帳簿)について
 活動内容に関する文書(帳簿)は、次の(1)から(5)で、外国人が活動している事業所に備え置く必要があります。
(1)特定技能外国人の管理簿
ⅰ. 特定技能外国人の名簿
ⅱ. 特定技能外国人の活動状況に関する帳簿
(2)特定技能雇用契約契約書
(3)雇用条件通知書
(4)特定技能外国人の待遇に係る事項が記載された書類(賃金台帳等:労働基準法108条)
(5)特定技能外国人の出勤状況に関する書類(出勤簿等の書類)
 
2.支援状況に係る文書(帳簿)について
 支援状況に関する文書(帳簿)は、次の(1)から(4)で会社事務所に備え置く必要があります。
(1)支援実施体制に関する管理簿
(2)支援の委託契約に関する管理簿
(3)支援対象者に関する管理簿
(4)支援の実施に関する管理簿
 
 
●技能
  本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行うためのビザ(在留資格)です。具体的には、中華料理やインド料理、タイ料理等の外国料理の料理人、パイロット、ワインのソムリエ、スポーツの指導者等がこのビザに該当します。技能ビザは「熟練した技能がある」ことが条件になります。その中でも特に多い、外国料理の料理人に焦点をあて、説明致します。
 
〔在留資格該当性について〕
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う」とありますので、日本国内の法人形態のレストラン、あるいは個人事業主形態の飲食店に直接雇われて給与の支払いを受けることが必要です。飲食店の開業したい場合は、次項で説明する「経営・管理」ビザを取得する必要がありますので後ほど説明します。

基準適合性について
ⅰ. 外国人本人に10年以上の実務経験があること
   外国料理人は、10年以上の実務経験が必要です。タイ料理人に関してだけは、5年以上の実務経験でよいこととされています。調理師としての実務経験を証明できる在職証明書等で証明しますが、実務経験については本当なのかどうか、その店は実在しているのかどうか、入国管理局はしっかり調査してきます。この「10年以上の実務経験」については、外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造にかかる料理を専攻した期間を含まれますので、実際の実務経験にプラスして、専門学校などで料理について学んでいたのであれば、学生の期間も合算して計算できます。そして、在職証明書が本物であるかどうかを、入国管理局は申請人が実際に勤めていた勤務先に電話をして、実在しているのかどうかの確認をとっています。ですので当然ですが、10年の実務経験を証明する在職証明書等は、虚偽の記載はしてはいけません。

ⅱ. 外国料理の専門店であること
 「外国において考案され、我が国において特殊なものについて営業する専門店」が技能ビザ許可の対象とされていますので、日本の料理店(ラーメン店や居酒屋等)では許可されません。メニューについては、外国料理の単品料理やコースメニュー等があるかどうかも、写真などを提出することで証明する必要があります。日本人には作れなさそうな外国料理を専門とするお店、レストランである必要があります。

技能ビザは、外国料理専門店での料理人がほとんどを占めますが、多いパターンとしては、現在すでに「経営・管理」ビザで外国料理店を経営している、あるいは、これから「経営・管理」ビザを取得して、外国料理店を開きたいというかたが、本国から料理人を招聘するパターンが比較的多いと思われます。というのは後述しますが、「経営・管理」ビザで飲食店を開業する場合、経営者は基本的に、厨房に立ち続けて料理をすることは認められていませんので、必ず料理人を雇う必要があるからです。