建設業許可を取得されることは、以下のようなメリットがございます。
・500万円以上の工事が受注でき、さらに事業を拡大できる。
・元請から信用が得られ、より大きな仕事をまわしてもらえるようになる。
・信頼性アップによりお客様を紹介されることも増えて、結果的に売上アップに繋がる。
・金融機関からの信用が上がり、融資を受けやすくなる。
・公共工事への入札の道が開け、選択肢が増える。
以下にご説明させていただきますが、許可取得には要件があり、今すぐに取得できるかどうかは確認させていただかないと分かりませんが、要件に合致されるなら、是非取得に向けてご検討いただければと思います。
【建設業許可の制度について】
●請負う金額での基準
工事1件あたり、税込500万円(建築一式工事の場合は税込1,500万円)以上の工事を請負う場合、管轄する都道府県等から建設業許可を取得する必要があります。例えば、年間30件の工事を請負っているとして、1件でも500万円以上の工事がある場合は許可が必要です。仮に契約書が別々であったとしても、発注者・工事現場・完成すべき物が同一の場合は、1件の工事とみなされます。
●知事許可と大臣許可
大阪府内の本店のみで営業(建設工事の請負契約)をされる場合は、大阪府知事許可でOKです。(大阪府内に複数拠点があっても知事許可でOK)そして、他の営業所が他府県にまたがって複数拠点で営業されたい場合は、国土交通大臣許可が必要になります。ただし、もう一つの営業所を他府県に設置するが、そこでは建設業の営業をしない(建設工事の請負契約を締結しない)場合は大阪府知事許可でOKです。有効期間は各々とも5年間になり、有効期間の3ヶ月前から受付され、30日前までに更新手続きをする必要があります。
●一般建設業と特定建設業
特定建設業とは、発注者から直接請け負う1件の元請工事について、下請人に施工させる額の合計額が、税込4,500万円以上(建築一式工事の場合は、7,000万円以上)となる場合です。要するに、特定建設業は元請業者が取得する許可になります。例えば、発注元から6,000万円で受注し、下請業者に4,000万円で発注する場合は、特定建設業許可は必要ありませんが、A下請業者に2,000万円、B下請業者に2,500万円で発注する場合は、特定建設業許可が必要になります。発注元から請け負う金額は関係なく、あくまで下請業者に発注する合計額で判断されます。そして、上記以外は全て一般建設業になります。
●建設工事の種類と業種
2つの一式工事と27の専門工事に分類されいます。(※詳細「建設業の種類」参照)
建築工事業(一式)、土木工事業(一式)、とび・土工工事業、電気工事業、菅工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業、内装仕上工事業、解体工事業他…。よく誤解されているのが、建築・土木の一式工事を取得すれば、全ての工事ができる、と思われているかたがいますが、税込500万円以上の専門工事を単独で請け負う場合にはそれぞれの専門工事の許可が必要になります。建築・土木一式工事とは、原則として元請の立場で総合的な企画、指導及び調整を必要とし、個別の専門的な工事として施工することが困難であると認められる工事になります。
●建設業許可の取り方
建設業の許可は、一般建設業・特定建設業の区分ごとに、29業種それぞれ業種ごとに受ける必要があり、同時に2つ以上の業種の許可を受けることもできます。ただし、1つの業種に関して一般建設業と特定建設業を重複して受けることはできません。それと、同一の事業者が、ある業種を知事許可、別の業種を大臣許可という受け方をすることもできません。
【建設業許可に必要な要件】
建設業の許可を受けるには、以下の6つの要件が必要になります。
1.常勤役員等(経営業務の管理責任者)がいること。(建設業に関する経営経験)
2.専任の技術者がいること。(資格や実務経験等を有する技術者の配置)
3.財産的・金銭的信用を有すること。(財産的要件)
4.欠格要件に該当しないこと。
5.建設業の営業を行う事務所を有すること。
6. 適切な社会保険に加入していること。
では、以下で各項目ごとにご説明致します。
1.常勤役員等(経営業務の管理責任者)がいること (建設業に関する経営経験)
常勤役員等のうち一人が以下のいずれかに該当する者であること。
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
※法人においては「役員」としての経験か、個人事業主においては「代表」としての経験が必要になります。
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者
※取締役会の決議を経て、取締役又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けて、経営業務の管理に従事してきた執行役員のみが該当します。
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
※取締役会の決議を経て、取締役又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けて、経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を持つ者であって、役員等の直下にある管理職(法人における部長、個人事業主における専従者等)が該当します。
経営業務の管理責任者については、上記いずれかに該当される方がいらしゃるかどうかが最初の関門になります。上記を証明するために、その期間全ての法人税確定申告書や工事の契約書等が必要になりますので、現在勤務中の自社でのご経験であれば証明しやすいですが、以前の勤務先での経験でも可能です。その場合、確認書類の取り寄せができるかどうかがポイントになります。そして、以前の勤務先での経験と現在の自社での経験を合算することも可能です。
・以上の要件はお一人のみの証明でOKですが、以下はお二人以上の証明が必要になります。
常勤役員のうちの一人が(4) (5)いずれかに該当する者であって、かつ、当該常勤役員等を直接に補佐する者として、(6)(7)(8)をそれぞれ置く者であること。
(4)建設業に関し2年以上役員としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当する者に限る)としての経験を有する者
要求される経験が2段に分けれていて、後ろの2段目が建設業に関し5年以上役員等に次ぐ職制上の地位にある者で、そして1段目がそのうち、2年以上役員等としての経験が有るかどうかです。
(5)5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者
これも要求される経験が2段に分けれていて、まず1段目が建設業に限らず5年以上の役員等としての経験を有し、そして2段目がそのうち2年以上建設業に関し役員等としての経験を有する者かどうかです。
・上記(4)(5)とも、この常勤役員等を直接に補佐する者として、以下の(6)(7)(8)それぞれの経験を持つ者を置く必要があります。
(6)許可の申請を行う建設業者において5年以上の財務管理の業務経験を有する者
(7)許可の申請を行う建設業者において5年以上の労務管理の業務経験を有する者
(8)許可の申請を行う建設業者において5年以上の業務運営の業務経験を有する者
この補佐をする者については、一人が上記3つの経験を兼ね備えていてもいいですし、それぞれ一人ずつ配置してもいいです。
〈経営業務の管理責任者の経験を証明する確認書類について〉
適合する要件により、必要な確認書類は変わりますので、ここでは、(1)の証明に必要な確認書類についてのみ、明記致します。
ⅰ.経験年数分の法人税確定申告書(要受付印のあるもの)
個人事業主の場合は、所得税の確定申告書(要受付印のあるもの)
※電子申告をされている場合は、税務署の受信通知を印刷して提出
ⅱ.経験年数期間内の、工事契約書・注文書・請求書等
ⅲ.商業登記簿謄本・閉鎖謄本
履歴事項全部証明書、閉鎖事項全部証明書等
・確認書類の詳細については、打合せ時にご説明させていただきます。
2.専任の技術者がいること(資格・実務経験を有する技術者の配置)
専任技術者については、営業所(拠点)ごとに1名の配置が必要です。経営業務の管理責任者等との兼任については、同一の営業所内(原則として、本店(本社))に限って認められます。
●一般建設業における専任技術者
以下のうち、いずれかの要件を満たす必要があります。
(1)国家資格等を取得していること
該当する国家資格等については、別途資格区分表がありますので、そちらに掲載されている資格が対象になります。大部分の民間資格等、は専任技術者としては認められませんので注意が必要です。
(2)10年以上の実務経験を有する者
国家資格保有者がいない場合、過去の実務経験で専任技術者になることも可能です。ただし、許可を受ける1業種につき1名の者の10年間の実務経験が必要になり、例えば2業種の許可を受けたい場合、経験期間が重複している期間については、二重に計算できません。なので、例えば1名の方で内装仕上工事と菅工事を証明したい場合、平成14年1月~平成23年12月までを内装仕上工事で証明し、平成24年1月~令和3年12月までを菅工事で証明するというように各々10年ずつ合計20年間を証明する必要があります。そうか、もう1名別人の方でその業種に対応した10年間の実務経験があれば、その方で証明する方法もあります。ただし、電気工事及び消防施設工事については、実務経験での証明はできません。(資格がなければ、一定の工事に従事できません)
(3)指定学科のある高校、中等教育学校、1年制専門学校等の卒業の場合は5年以上の実務経験を有する者
別途関連学科一覧に掲載されている、許可を受けようとする業種に係る学科を卒業していると、5年間の実務経験でOKになります。職人さんの中で工業高校卒業の方がいらっしゃれば、確認が必要です。
(4)指定学科のある大学(短期大学、高等専門学校、旧専門学校を含む)、2年制専門学校の卒業の場合は3年以上の実務経験を有する者
主に大学卒が多いと思いますが、実務経験が3年でOKになります。
(5)指定学科に関し、旧実業学校卒業程度検定合格後5年以上、旧専門学校卒業程度の検定合格後3年以上の実務経験を有する者
実際には上記学校を卒業していないが、検定試験に合格していれば、同様に実務経験証明の短縮が可能になります。
●特定建設業における専任技術者
以下のうち、いずれかの要件を満たす必要があります。
(1)国家資格等を取得していること
該当する国家資格等については、別途資格区分表がありますので、そちらに掲載されている資格が対象になりますが、各資格において、1級レベルを取得されていることが必要です。
(2)一般建設業における(2)~(5)までのいずれかに該当する者のうち、許可を受けようとする業種に係る建設工事に関し、2年以上一定の指導監督的な実務経験を有する者
「一定の指導監督的な実務の経験」とは、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額4500万円以上(税込)であるものに関する指導監督的な実務の経験をいいます。発注者の側における経験又は下請人としての経験は含みません。指導監督的な実務の経験とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
(3)指定建設業(土木工事業/建築工事業/電気工事業/菅工事業/鋼構造物工事業/舗装工事業/造園工事業)については、(1)国家資格等を取得していること(1級レベル)が必要です。指導監督的な実務の経験では、指定建設業では専任技術者になれません。
●下記に該当する者は、「専任のもの」とはいえないことになります。
ⅰ.住所が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤がが不可能な者
ⅱ.他の営業所(他の建設業者の営業所を含む)において専任を要する者
ⅲ.建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等他の法令により特定の事務所等において専任を要することとされている者(建設業において、専任を要する営業所が他の法令により専任を要する事務所等と兼ねている場合においてその事務所等において専任を要する者を除く):これは同じ営業所内にて、兼務であればOKの可能性ありという意味です。
ⅳ.他に個人営業を行っている者、他の法人の常勤役員である者等他の営業等について専任に近い状態にあると認められる者
ⅴ.給与の額が最低賃金法に基づく大阪府の地域別最低賃金(月額10万円が目安額)を下回る者
※専任の技術者は同一の営業所内において、各業種につき、それぞれ1名ずつ担当することとなり、複数の専任技術者が同じ業種を担当することはできません。
●営業所における専任技術者と工事現場の監理(主任)技術者との関係について
営業所における専任の技術者は、営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められています。ただし特例として、以下の要件を全て満たす場合は営業所における専任の技術者は、当該工事の専任を要しない監理技術者又は主任技術者となることができます。
要するに、専任技術者と監理(主任)技術者を兼務できるということです。
ⅰ.当該営業所において請負契約が締結された建設工事であること。
ⅱ.工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡を取りうる体制にあること。
ⅲ.所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること。
ⅳ.当該工事の専任を要しない監理(主任)技術者であること。
当該工事の専任を要しない監理(主任)技術者とは、公共性のある工作物に関する重要な工事(工事の請負代金の額(税込)が4,000万円(建築一式工事にあっては8,000万円)以上のもの)以外に配置されるものをいいます。
〈専任技術者を証明する確認書類について〉
国家資格等で証明する場合は、国家資格等の資格を証する書面の写し(更新申請の場合のみ不要)。実務経験で証明する場合は、工事の実績を記載した全ての工事について、工期・工事名・工事内容・請負金額を確認できる書類で、工事契約書、注文書、請求書、内訳書等の書類。証明したい業種について、確認できた工事と次の工事との期間が12ヶ月以上空いていなければ、連続した期間、経験があるものとみなされます。その他の詳細については、打合せ時にご説明させていただきます。
3.財産的基礎・金銭的信用を有すること(財産的要件)
●一般建設業における要件
申請時点において、以下のいずれかに該当する者は、倒産することが明白である場合を除き、この基準に適合しているものとして取り扱います。
ⅰ.直前の決算において、自己資本の額が500万円以上であること。
貸借対照表での純資産合計額であり、仮に会社設立後1期を迎えていない場合は、資本金での判断になります。
ⅱ.金融機関の預金残高証明書(残高日が申請日前4週間以内)で、500万円以上の資金調達能力を証明できること。
ⅲ.許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること。
(5年目の更新申請者は、この基準に適合するものとみなします)
※一般建設業の場合、この証明は新規申請時のみで、更新申請の場合は証明不要です。
〈一般建設業における財産的要件を確認する書類について〉
・1期目以降の決算を終了し確定申告期限(決算月より2ヶ月)を経過した場合は、申請時直前の決算期における財務諸表及び確定申告書の下記の書類
法人:法人税の確定申告書のうち、税務署の受付印のある別表一+決算報告書
個人:所得税の確定申告書のうち、税務署の受付印のある第一表+第二表+青色申告決算書又は収支内訳書+貸借対照表
※電子申告の場合は、税務署受信通知を印刷して提出します。
設立後1期を迎えていない新規の法人・個人の場合は、創業時における財務諸表(開始貸借対照表)を提出します。
・金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書
〇月〇日現在の残高証明が申請日前4週間(28日)以内のもので、1ヶ月でなないことに注意が必要です。それと、証明書の発行日では無く、証明日が基準となります。
●特定建設業における要件
許可申請時の直前の決算期における財務諸表において、以下のすべてに該当する者は、倒産することが明白な場合を除き、この基準に適合しているものとして取り扱います。
ⅰ.欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。
貸借対照表の右側の純資産の部の中の「繰越利益剰余金」がプラスになっていればそれだけでクリアされています。仮にマイナスの場合は、
(マイナスの繰越利益剰余金-(資本剰余金+利益剰余金+その他利益剰余金))÷資本金×100%≦20%
ⅱ.流動比率が75%以上であること。
貸借対照表の左側一番上の「流動資産」を右側一番上の「流動負債」で割り、100を掛けて求めることができます。
ⅲ.資本金の額が2,000万円以上であること。
資本金は増資による特例があり、申請時直前における財務諸表では、資本金の額に関する基準を満たさないが、申請日までに増資を行うことによって基準を満たすこととなった場合には、資本金の額に関する基準を満たしているものとして取り扱います。
ⅳ.自己資本の額が4,000万円以上であること。
貸借対照表の右側の下の、「純資産合計」が4,000万円以上であることが必要です。
※特定建設業の場合では、新規申請時のみではなく、更新申請の際にも以上の要件を満たしていることの証明が必要です。
〈特定建設業における財産的要件を確認する書類について〉
・1期目以降の決算を終了し確定申告期限(決算月より2ヶ月)を経過した場合は、申請時直前の決算期における財務諸表及び確定申告書の下記の書類
法人税の確定申告書のうち、税務署の受付印のある別表一+決算報告書
※電子申告の場合は、税務署受信通知を印刷して提出します。
4.欠格要件に該当しないこと
以下、ポイントを絞って記載します。
ⅰ.破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
ⅱ.一般建設業又は特定建設業の許可が取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない者
ⅲ.行政庁から聴聞等の通知が届いた後、処分がなされる前に自ら許可を取り下げる等の届出をした場合、その届出から5年を経過しない者
ⅳ.ⅲの行政庁からの通知が届く前、60日以内に当該届出に係る法人の役員等であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者
ⅴ.禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
ⅵ.法、又は一定の法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
ⅶ.暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・欠格要件での注意点は、暴行等傷害事件はもちろんのことですが、道路交通法違反です。酒酔い運転・酒気帯び運転での人身事故等は、禁固刑になりえますので、過去5年以内に役員等の方の中に該当される方がいらっしゃる場合、そのままでは申請できませんので、これらに該当する方は役員等から抜けていただく必要があります。
5.建設業の営業を行う事務所を有すること
営業所は原則として、以下のすべてに該当することを要します。
ⅰ.事務所等建設業の営業を行うべき場所を常時使用する権限を有していること。
ⅱ.建物の外観又は入口等において、申請者の商号又は名称が確認できること。
ⅲ.固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること。
ⅳ.許可を受けた建設業者にあっては、営業所ごとに法第40条に基づく標識(建設業の許可票)を掲げていること。
ⅴ.支店等の代表者が常勤しており、かつ契約締結等に関する権限を申請者から委任されておること。
ⅵ.専任技術者が営業所に常勤して専らその職務に従事していること。
〈建設業の営業所とは〉
常時建設工事に係る請負契約等を締結するなど、請負契約の見積り、入札、契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。単なる連絡事務所はこれに該当しませんが、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行うなど建設業に関する営業に実質的に関与するものである場合には、この営業所にあたります。したがって、登記上だけの本店・支店や、建設業の業務とは関係のない本店・支店は該当しません。
〈営業所の要件を確認する書類について〉
新規申請や許可換え新規申請の場合のみ必要になり、更新申請等には必要ありません。(許可換え新規とは、現在有効な許可を受けている許可行政庁以外の許可行政庁に新たに許可を申請する場合で、例えば兵庫県内のみで営業していた事業者が、大阪府内へ移転して営業を始める場合がこれに該当します。)
・営業所概要書(様式第1号)に、以下の区分に応じた権利関係を記載します。
ⅰ.自己所有の場合:自己所有とは、申請者及び法人の役員、個人事業主個人の支配人が事務所を設置する建物の2分の1以上を所有している場合
ⅱ.賃貸等の場合:申請者が建物を事務所として賃貸借している場合
ⅲ.その他の場合:事務所としての使用目的が確認できない賃貸借契約を結んでいる場合は、賃貸借契約以外の書類によって使用承諾等がある旨を記載します。また、自己所有の場合でも申請者ではなく、その親族等が建物を所有している場合は、その旨を記載します。
(例)
・賃貸借契約書の使用目的が居住用に限定されている場合
・事務所使用が禁止となっている場合
・申請者と借主が異なる場合
・賃貸人が申請者の関係企業等であって、建物の所有者でない場合
・申請者が個人で、個人事業主の親族が建物を所有している場合
6. 適切な社会保険に加入していること
令和2年10月より社会保険等への加入が許可要件化されました。
まず、健康保険・厚生年金保険ですが、法人は必須で、個人事業主の場合でも従業員が5人以上(家族従業員を除く)の場合は原則適用事業所になります。
雇用保険については、1人でも労働者を雇っている場合は、法人・個人事業主の区別なく適用事業所になります。ただし、法人では役員のみ、個人事業主では同居の親族のみで構成されている場合は、雇用保険は原則適用除外となります。これらを証明するために確認書類(写し)を添付する必要があります。
・健康保険・厚生年金保険、国民健康保険
「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」
「納入告知書 納付書・領収証書」
その他、組合管掌健康保険の場合は、組合発行の保険料領収証書の写しが必要
になりますが、詳細はご商談時にご説明致します。
・雇用保険
「労働保険概算・確定保険料申告書」及び「領収済通知書」
【決算変更届など各変更届について】
建設業許可の取得後、毎年の決算(事業年度)終了後4ヶ月以内に、直近年の工事経歴書や財務諸表を許可行政庁(大阪府等)に提出しなければなりません。
(建設業法第11条2項)
このように毎年、財務内容等が審査されます。その他のさまざまな変更における届出については、その内容により期日が決められています。
ⅰ. 事実発生後14日以内の届出
・常勤役員等(経営業務の管理責任者)の変更
・当該常勤役員等を直接に補佐する者の変更
・専任技術者の変更
・建設業法施行令第3条に規定する使用人の変更
・社会保険等の加入状況の変更
・役員等が欠格要件に該当した場合
ⅱ. 事実発生後30日以内の届出
・営業所(本店・支店)の変更
・法人の商号又は名称の変更、個人事業主の屋号の変更
・資本金の変更
・法人の役員等(株主等を除く)の変更
・株主等の変更 ※覚知してから30日以内の届出
・支配人の変更、個人事業主・支配人の氏名の変更
【経営事項審査申請(経審)について】
※詳細は別途ページに記載しております。
ⅰ. 経営事項審査申請とは?
建設業者施工能力、財務の健全性、技術力等を判断するための資料として、その企業の完成工事高、財務状況、技術者数などの項目(客観的事項)を総合的に評価するものです。公共工事を国・地方公共団体から直接請負う(元請)建設業者は、毎年、経営事項審査を必ず受ける必要があります。(建設業法第27条の23)
公共工事を発注者(国・地方自治体)から直接請け負おうとする建設業者は、建設業許可を有し、許可を受けた業種の中から入札に参加したい公共工事の業種等を勘案し、業種ごとに受審します。許可は経営事項審査の申請時点で有していればよく、審査基準日時点で有していなくても受審できます。
ⅱ. 審査基準日とは?
審査の基準日は、申請する日の直前の事業年度の終了日(決算日)になります。ただし、法人合併や営業譲渡が行われた場合には、当該合併日や営業譲渡日を審査基準日として、経営事項審査を受けることができます。
経営事項審査を申請後、結果通知が届きますが、その結果通知の有効期間は、審査基準日から1年7ヶ月になりますので、公共工事の発注機関と請負契約を締結できるのは、結果通知が届いた後、有効期間である審査基準日から1年7ヶ月までの間になります。公共工事を継続的に行う計画がある場合は毎年、有効期間を切らすことなく、経営事項審査を受ける必要があります。
ⅲ. 経営事項審査の流れ
①決算変更届の提出
事業年度終了後4ヶ月以内に決算変更届を提出します。
②経営状況分析の申請
経審申請の前に、所定の分析機関への経営状況の分析依頼が必要です。代表的なところは、(一財)建設業情報管理センター、ワイズ公共データシステム㈱などがあります。
③経営状況分析結果通知書の受領
申請からおおむね1週間以内には、結果通知書が届きます。並行して申請に必要な書類を作成します。
④経営事項審査の受審日の予約
大阪府では、建設業許可の申請と同じところが窓口になります。建設業許可の申請には予約は必要ありませんが、この経営事項審査の受審は予約をする必要があります。
⑤内部審査
当該行政庁の審査機関で審査されます。おおむね22日から25日程度(大阪府)で結果通知書が届きます。
⑥経営事項審査結果通知書の受領
この通知書は正式には「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」と呼ばれるもので、総合評定値(P点)がはじき出されます。このP点が各々の建設業者様の持ち点となり、公共工事を受注するためには、この「持ち点」が必要になります。
⑦入札参加希望の発注機関への入札参加資格申請
自社が施工を希望する公共工事を受注するために、その発注機関(国、都道府県、市町村等)へ入札参加資格を申請します。
ⅳ. 申請に必要な主な書類について
・経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
建設業許可番号や審査基準日などを記載します。
・工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高
直近の2年平均か3年平均を選択し、業種ごとに完成工事高を記載します。
・技術職員名簿
国家資格者や監理技術者講習を受講している旨を記載します。
・工事経歴書
直近年の工事経歴を業種ごとに記載します。元請工事から記載するなど、細かな記載のルールがあります。
・その他の審査項目(社会性など)
労働福祉の状況、建設業の営業継続の状況・経理の状況、法令順守の状況など、項目ごとに記載します。
・経営状況分析結果通知書
分析機関からの結果通知書を添付します。
必要に応じて他の添付書類もございますが、そのあたりは改めてご商談時にご説明させていただきます。
2⃣. 産業廃棄物収集運搬業許可申請について |
※一覧表をスマートフォンで閲覧される場合は、横にスクロールをお願いします。
【廃棄物の種類】
産業廃棄物…事業活動に伴って生じた廃棄物
特別管理産業廃棄物と区別するため、「普通産廃」と呼ぶ場合もあります。
特別管理産業廃棄物…産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性、その他、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有するもの。 呼び名が長いので、「特菅物(とっかんぶつ)」と呼ぶ場合があります。
一般廃棄物…一般家庭の日常生活に伴って生じた廃棄物、その他、事業活動に伴って生じた廃棄物で産業廃棄物以外のもの。
〈産業廃棄物の種類一覧〉
項 | 種類 | 具体例 |
1 | 燃え殻 | 焼却炉の残灰等の各種焼却かす、活性炭 |
2 | 汚泥 | 排水処理の汚泥、建設汚泥等の各種泥状物 |
3 | 廃油 | グリス(潤滑油)、大豆油等鉱物性動植物性を問わず全ての廃油 |
4 | 廃酸 | 廃写真定着液等、有機性無機性を問わず全ての酸性廃液 |
5 | 廃アルカリ | 廃写真現像液、廃金属石鹸液等、有機性無機性を問わず全てのアルカリ性廃液 |
6 | 廃プラスチック類 | 発泡スチロールくず、合成繊維くず、合成ゴムくず等、全ての合成高分子系化合物 |
7 | 紙くず※ | 建設業(工作物の新築、改築、除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、 紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業の紙くず (注:オフィスから出る紙は一般廃棄物) |
8 | 木くず※ | 建設業(工作物の新築、改築、除去により生じたもの)、木材又は木製品製造業 (家具製品製造業)、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業の木くず、 貨物の流通のために使用したパレット |
9 | 繊維くず※ | 建設業(工作物の新築、改築、除去により生じたもの)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業の天然繊維くず(注:合成繊維くずは廃プラスチック類) (注:小売店などから出る天然繊維は一般廃棄物) |
10 | 動植物性残さ※ | 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で原料として使用した動物や植物に係る固形状の不要物(注:飲食店から出る厨芥は一般廃棄物) |
11 | 動物系固形不要物※ | と畜場で解体等した獣畜や、食鳥処理場で処理した食鳥に係る固形状の不要物 |
12 | ゴムくず | 天然ゴムくず(注:合成ゴムくずは廃プラスチック類) |
13 | 金属くず | 鉄くず、アルミくず、金属の研磨くず、切削くず等、不要となった金属 |
14 | ガラス・コンクリート・陶磁器くず | 板ガラス、耐火レンガくず、タイル、石膏ボード、 コンクリート製品製造工程からのコンクリートくず |
15 | 鉱さい | 鋳物砂、サンドブラストの廃砂、不良石灰、各種溶鉱炉かす等 |
16 | がれき類 | 工作物の新築、改築、除去に伴って生じたコンクリートの破片、レンガの破片等 |
17 | 動物のふん尿※ | 畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとり等のふん尿 |
18 | 動物の死体※ | 畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとり等の死体 |
19 | ばいじん | 大気汚染防止法のばい煙発生施設や産業廃棄物焼却施設の集じん施設によって集められたばいじん等 |
20 | 産廃物を処分するために処理したもの | 上記1~19に掲げる産業廃棄物を処分するために処理したものであって、これらの産業廃棄物に該当しないもの |
申請の区分(右) | 産廃物収集運搬業 | 特別管理産廃物収集運搬業 | ||
修了証等の種類(下) | 新規 | 更新 | 新規 | 更新 |
①産業廃棄物収集・運搬課程(新規) | ◎ | ◎ | △ | ◎ |
②特別管理産業廃棄物収集・運搬課程(新規) | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
③産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物収集・運搬課程(更新) | ● | ◎ | ● | ◎ |
④廃棄物管理士講習 | ● | ◎ | ● | ◎ |
⑤特別管理産業廃棄物管理責任者講習 | ◎ | △/● | ◎ | |
⑥安全衛生管理規程等の写し | ● | ● |
・本店又は支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所又は従たる事務所)
3⃣宅地建物取引業免許申請について |
区分 | 自己物件 | 他人の物件の代理 | 他人の物件の媒介 |
売買 | 〇 | 〇 | 〇 |
交換 | 〇 | 〇 | 〇 |
貸借 | ✕ | 〇 | 〇 |
ⅰ.本店又は支店として商業登記されたもの
宅建業者は、事務所や宅建業法第50条第2項に規定する案内書等には一定の数の専任の宅地建物取引士を置かなければなりません。このことに抵触する事務所等を開設してはならず、免許後に既存の事務所等が抵触するに至ったときは2週間以内に新たに補充をするなど必要な措置をとらなければなりません。
区分 | 法律に規定する専任の宅地建物取引士の数 |
事務所 | 業務に従事する者5人に1人以上の数 |
案内所等 | 1人以上 |
宅建業の業務に従事する者については、個人事業者本人や法人業者の代表者、直接営業に従事する者は必ず含まれます。宅建業のみを営んでいる専業業者の場合、常勤役員の全てが含まれる他、庶務・経理などの一般管理部門に従事する者も含まれます。継続的な雇用関係にある者であれば、パートタイマーなどの形態を問わず、宅地建物の取引に直接関係する業務に従事する者も含まれます。 他に兼業を営んでいる業者の場合、宅建業と兼業業務との業務量を斟酌して判断します。例:建設業と宅建業を1:2の割合で営んでいて、会社に経理が9人いた場合、宅建業に従事する者は9人×3分の2で、6人となります。
・在学中の大学生
事例 | 専取としての専任性 |
複数事務所の専取兼務 | ✕ |
行政書士等の資格を有する宅地建物取引士が宅建業を営む場合への可否 | 〇 同一建物内で常時勤務し、かつ、行政書士業務等が個人事業(自由裁量で業務時間を調整できる状態)で、宅建業営業時間中は宅建業に専任できる場合 ✕ 上記以外の場合 |
監査役の専取兼務 | ✕ 会社法で、監査役は取締役、使用人との兼職が禁止されているため、専取も不可 |
契約社員・派遣写真 | 〇 宅建業者が当該社員を指揮命令できる関係にあること |
事務所の種別等 | 建設業の「経営管理者」 「専任技術者」 | 兼務する職種等 |
同一法人/同一場所 | △ | 宅建業の「常勤の代表者」 「政令の使用人」 「専任の宅地建物取引士」 |
同一法人/違う場所 | ✕ | |
他の法人/同一場所 | ✕ | |
他の法人/違う場所 | ✕ |